
賃貸の水漏れ・雨漏りは誰の責任?貸主の修繕義務(民法606条)と、放置すると借主が損害賠償を負う3つの分かれ目【2026年最新】
天井のシミや水漏れに気づいたとき、費用を負担するのは貸主か借主か。結論は「原因が建物側か使い方か」「気づいてすぐ連絡したか」「階下に被害が出たか」の3つで決まります。雨漏りの修繕を借主に負わせる特約は無効となるのが通常とされる一方、気づいて放置すると善管注意義務違反として借主が責任を問われるおそれがあります。民法606条・607条の2・611条と保険の仕組みまで、記録の残し方と連絡文例つきで整理します。
結論:水漏れ・雨漏りの責任は「3つの分かれ目」で決まる
天井から水が垂れてきた、壁紙にシミが広がってきた、洗面台の下が濡れている。賃貸で水のトラブルが起きたとき、多くの人が最初に思うのは「これ、私が直すの?それとも大家さん?」という疑問です。結論から言うと、責任の所在は大きく3つの分かれ目で決まります。
- 分かれ目①:原因は「建物・設備の側」か「借主の使い方」か。屋根・外壁・共用部の配管など建物側の原因なら、原則として貸主が修繕義務を負います(民法606条)。
- 分かれ目②:気づいたあと、すぐ連絡したか。原因が貸主側にあっても、借主が気づいたのに放置して被害が広がると、善管注意義務違反として借主が責任を問われるおそれがあります。
- 分かれ目③:被害が自室の外に出たか。階下の部屋に水が回ると、損害賠償の問題になります。ここで効いてくるのが保険です。
この記事では、弁護士事務所の解説、国民生活センターの公表資料、民法の条文をもとに、賃貸の水漏れ・雨漏りで「誰が」「何を」負担するのかを、順番に整理します。法律上の細かな扱いは個別の事情で変わりますので、最終的な判断が必要な場面では、管理会社・弁護士・消費生活センターなどの専門窓口にご相談ください。
国民生活センターが2026年8月5日に公表した「2025年度 全国の消費生活相談の状況-PIO-NETより-」によると、2025年度の相談件数は100.6万件で、2024年度の91.3万件に比べて約9万件増えました。増加した商品・役務の一つに「賃貸アパート・マンション」があり、約8千件増加しています。注目項目の説明には「退去時の原状回復トラブルについての相談など」と記載されています。水漏れ・雨漏りに限った件数ではありませんが、賃貸の費用負担をめぐる相談が減っていないことがわかります。
原則:貸主には修繕義務がある(民法606条)
賃貸借契約では、貸主は借主に「住める状態の部屋」を使わせる義務を負っています。その中心にあるのが民法606条の修繕義務です。貸主は、賃貸物の使用および収益に必要な修繕をする義務を負います。ただし、借主の責めに帰すべき事由で修繕が必要になった場合は、この限りではありません。この但し書きは、平成29年(2017年)の民法改正で明文化されたものです。
弁護士法人みずほ中央法律事務所の解説(「賃貸人の修繕義務の要件の基本(民法606条)」)によると、修繕義務は、修繕が「必要」かつ「可能」な場合に生じます。また、破損が契約を結ぶ前から存在していた場合でも、貸主は修繕義務を負います。さらに、台風などの不可抗力で壊れた場合でも、修繕義務を負うことには争いがないと整理されています。
同じ法律事務所の別の解説(「建物賃貸借における入居中のトラブル」)でも、天井からの雨漏りや設備の損傷は、原則としてオーナー(賃貸人)が修繕義務を負うと説明されています。修繕をしないと、損害賠償請求や賃料減額請求が認められることがあるとも述べられています。
雨漏りは「建物の本質的な機能」。借主負担の特約は無効になりやすい
契約書に「小さな修繕は借主負担」といった特約が書かれていることは珍しくありません。修繕義務を定めた606条は任意規定とされており、特約自体は原則として有効という整理が一般的です。実際、前掲のみずほ中央法律事務所の解説でも、修繕義務を借主が負う特約は原則有効とされています(最判昭和29年6月25日が挙げられています)。
ところが、雨漏りは別です。同解説では、屋根や天井からの雨漏りを借主が修繕するという特約は、建物の本質的な機能に関わるため合理性を欠き、無効となるのが通常とされています。つまり、契約書に何と書いてあっても、屋根や外壁から入ってくる雨水の修繕を借主に押しつけることは難しい、ということです。
| 場面 | 一般的な負担の考え方 | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| 屋根・外壁・ベランダ防水の劣化による雨漏り | 貸主 | 建物の本質的な機能に関わる。借主負担特約は無効となるのが通常 |
| 共用部の給排水管の劣化による漏水 | 貸主(管理会社経由で手配) | 建物・設備側の原因。借主は速やかに連絡する |
| 借主が窓を開けたまま外出し、雨が吹き込んだ | 借主 | 借主の不注意(善管注意義務違反)が原因。床の色落ちも借主負担と整理される例がある |
| 借主が置いたエアコンの水漏れを放置して壁が腐食 | 借主になる可能性が高い | 放置して被害を広げた点が善管注意義務違反と考えられる |
| 小さなパッキン交換など日常的な軽微修繕 | 契約書の特約次第 | 軽微な修繕を借主負担とする特約は、原則として有効と整理される |
なお、VSG弁護士法人のコラム(「【退去前に要確認】賃貸の原状回復とは?トラブル対策のためのガイドライン」)では、床の色落ちについて、入居者の不注意で雨が吹き込んでできたものは入居者負担、日照や建物の構造欠陥による雨漏りでできたものは大家負担という整理が紹介されています。ただし、後者の場合でも、入居者には大家に雨漏りを通知する義務があるとされています。ここが次の章の「放置」の話につながります。
水漏れ(給排水)は「原因探し」が先。排水の詰まりは誰の責任?
雨漏りが「外から入ってくる水」なら、水漏れは「室内の配管・設備から出る水」です。キッチンの下、洗面台、洗濯機の給水ホース、トイレのタンク、給湯器まわり。原因は多岐にわたり、責任の所在も原因によって変わります。
建物・設備の老朽化が原因の場合
給排水管の劣化、給湯器の内部故障、パッキンの経年劣化などが原因の場合、借主に責任はないと考えられるのが一般的です。VSG弁護士法人のコラムでも、経年劣化による設備故障は大家負担で、賃借人に責任はないと考えられるとされています。この場合は、管理会社や貸主に連絡して、修理を手配してもらうのが基本です。
借主の使い方に原因がある場合
同じコラムでは、日常の不適切な手入れや用法違反による設備の毀損は入居者負担(善管注意義務違反)と整理されています。たとえば、排水口に物を流して詰まらせた、洗濯機のホースを正しく接続せずに水があふれた、といったケースです。健美家(不動産投資のポータル)の保険解説では、排水溝の詰まりは居住者に重大な過失がなければ(貸主側の賠償責任保険の)補償対象となりうるとされており、「詰まった=即借主の責任」とは限らないことがうかがえます。つまり、原因が使い方の問題なのか、配管の経年劣化なのかを、まず切り分けることが重要です。
最大のリスク:気づいたのに放置すると、借主が責任を問われる
水トラブルで借主が一番気をつけたいのは、「貸主の責任の問題だから、そのうち直してくれるだろう」と様子を見てしまうことです。VSG弁護士法人のコラムには、雨漏りに気づいたらできるだけ早く報告して修理してもらうこと、そして、雨漏りを放置して被害が広がった場合は、善管注意義務違反として大家から損害賠償請求を受けるおそれがあることが書かれています。
善管注意義務とは、「善良な管理者の注意をもって」借りている部屋を使い、管理する義務のことです。難しく聞こえますが、要するに「他人から預かった物として、常識的な注意を払って扱ってください」ということです。水漏れに気づいた時点で、貸主に連絡し、被害が広がらないように応急処置をする。これが、借主に求められる最低限の対応と考えられます。
たとえば、天井のシミに気づいたのに「引っ越しまで1か月だし」と何も言わず、そのまま放置して天井材が落ちた場合、貸主の側からは「早く言ってくれれば被害は小さく済んだ」という主張がされやすくなります。逆に、早い段階で連絡した記録が残っていれば、「借主は通知義務を果たしていた」と示せます。連絡の日時と内容は、必ず記録に残してください。
階下に水が回ったら:損害賠償と保険の仕組み
水漏れが自室にとどまれば、問題は「修理と原状回復を誰が負担するか」で済みます。しかし、集合住宅では、水は床を通って階下に落ちます。階下の天井、壁紙、家具、家電、場合によっては仮住まいの費用まで、損害が一気に広がります。
責任を負うのは原因を作った側
階下への損害賠償は、原因によって、借主・貸主(建物の所有者)のどちらにも発生しうるとされています。借主の不注意(洗濯機のホースの外れ、浴槽の水のあふれっぱなし等)が原因なら、借主が賠償責任を負う可能性があります。反対に、建物の老朽化した配管が原因で、借主に落ち度がなければ、建物の管理責任を負う貸主側の問題になります。
健美家の保険解説(「賃貸物件に掛ける火災保険を学ぶ2:賠償責任の補償」)によると、貸主側の賠償責任の補償は、1事故あたりの総限度額が「通常5,000万円~3億円程度」とされています。また、保険金の支払要件は「第三者に対して法律上の賠償責任を負った場合」で、台風・落雷などの不可抗力では、貸主に法律上の賠償責任が生じない可能性があるとも述べられています。さらに、貸主側の賠償責任保険が補償するのは「給排水設備からの漏水による水ぬれ損害」が中心で、雨漏り・雨の吹込みは原則対象外(一部の保険会社は有責としている)とされています。雨漏りは保険の面でも、補償の範囲が分かれやすい領域です。
借主側が入っておきたい保険
借主が加入する火災保険(家財保険)には、通常、借主が貸主に対して負う賠償責任(借家人賠償責任)や、他人に与えた損害の賠償(個人賠償責任)を補償する特約が付いていることがあります。契約時に加入した火災保険の内容を、いちど見直してみてください。具体的な補償範囲・免責は保険会社・商品によって異なるため、証券や重要事項説明書で確認するか、保険会社に問い合わせて確認する必要があります。
| 見直すポイント | 確認する内容 |
|---|---|
| 個人賠償責任の特約はあるか | 階下への水漏れなど、他人への損害賠償が補償対象かどうか |
| 借家人賠償責任の特約はあるか | 貸主(所有者)に対する、部屋の損害の賠償が補償対象かどうか |
| 免責・支払限度額 | 1事故あたりの限度額、免責金額(自己負担)の有無 |
| ペットが原因の場合の扱い | ペットが原因の損害が対象かどうかは、保険会社・商品の約款で確認する |
修繕してもらえないとき:家賃減額(民法611条)と自分で修繕する権利(民法607条の2)
連絡したのに、貸主や管理会社が動いてくれない。そんなときに使える民法上のルールが2つあります。条文は2020年4月施行の改正民法で整理されたものです。
民法611条:使えない部分の割合に応じて、賃料は減額される
民法611条は、賃借物の一部が滅失その他の事由により使用および収益をすることができなくなった場合に、それが借主の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用および収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額されると定めています。改正前は「減額を請求できる」と書かれていましたが、改正後は「減額される」と、当然に減額される形になりました。
たとえば、雨漏りで寝室が使えない、水漏れで浴室が使えないといった場合、その使えない部分の割合に応じて、賃料が減額されるのが条文の考え方です。具体的に何割減るのかは、部屋の状態や使えない程度によって変わるため、一律の割合は決まっていません。減額の根拠となる記録(写真・動画・連絡履歴)を整えて、管理会社に書面で伝えることが大切です。
民法607条の2:一定の条件で、借主自身が修繕できる
2020年の民法改正で、借主が自分で修繕できる場面が明文化されました(607条の2)。借主が貸主に修繕が必要である旨を通知したか、または貸主がその旨を知ったのに、貸主が相当の期間内に必要な修繕をしないとき、また急迫の事情があるときは、借主は自ら修繕することができます。ただし、急いで自分で業者を呼ぶ前に、必ず管理会社に連絡を入れ、見積書と領収書を保管し、費用の請求については事前に相談してください。独断での工事は、後で「必要な修繕だったのか」「金額は妥当か」をめぐる争いになりやすいためです。
また、修繕義務の不履行について、前掲のみずほ中央法律事務所の解説では、修繕義務を果たさないことによる損害賠償は、民法415条以下(債務不履行)によるとされています。放置が一般的に必要な期間を超え、かつ具体的な損害が生じた場合に認められるとされ、転居費用が損害として認められる場合や、場合によっては慰謝料が認められる場合もあると説明されています。
水漏れ・雨漏りを見つけたときの7ステップ
ここからは、実際に水トラブルが起きたときの動き方を、順番に整理します。慌てているときほど、順番を決めておくと落ち着いて対応できます。
管理会社に送る連絡文の例
連絡は、事実を淡々と、日時と写真付きで伝えるのがコツです。感情的な表現は避け、「いつ・どこで・何が起きたか」を書きます。以下は、そのまま使える連絡文の例です。
本日(〇月〇日)〇時ごろ、寝室の天井にシミと水滴があるのを発見しました。写真を添付いたします。
現時点では〇〇の状態で、水滴が落ちてきているため、バケツで受けて対応しています。
原因の調査と修繕の手配をお願いできますでしょうか。調査にお伺いいただける日時のご希望もお知らせください。
状況が変わりましたら、追ってご連絡いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
この文面のポイントは3つあります。①発見日時を明記すること。②写真を添えること。③「原因調査と修繕の手配」という具体的な依頼を書くこと。この3点が揃っていれば、「通知義務を果たした」と示す材料にもなります。
ケースで考える:3つの典型パターン
ここまでの考え方を、よくある3つの場面に当てはめてみます。いずれも典型例として再構成したもので、実際の結論は契約内容と事実関係によって変わります。
ペットと暮らす家庭が気をつけたい、水まわりの場面
ペット可の賃貸では、水まわりの扱いに一つ注意点が増えます。ペットが原因の損害は、「通常の使い方」の範囲を超えたと判断されやすいためです。たとえば、次のような場面です。
- 留守中の水のこぼれ:ペットが給水器やお水の容器をひっくり返し、床材が膨らむ。放置するとフローリングの傷みが広がり、借主の管理不十分と見られる可能性があります。
- ペットシーツ・トイレ砂の排水への流し込み:トイレに流せないものを流すと、配管の詰まりにつながります。使い方の問題として借主負担と判断されやすい場面です。
- ペットのシャワー・足洗い後の排水:毛が排水口に溜まり、詰まりの原因になります。こまめにヘアキャッチャーを掃除しておきましょう。
- 加湿・結露:ペットのために室温や湿度を保つ家庭では、結露が増えがちです。結露を放置してカビが広がると、借主の管理責任が問われる場合があります。
ペット可物件の契約書には、飼育細則や特約が定められていることが多く、水まわりの損害やクリーニング費用の扱いが書かれている場合があります。契約前にその内容を確認し、不明点は必ず質問してください。入居中に起きたトラブルは、管理会社への早めの連絡が、結果的にいちばん費用を抑えることにつながります。
内見・契約時に見ておきたい「水トラブルの予防チェック」
水のトラブルは、起きてから対応するよりも、起きにくい部屋を選ぶほうがずっと楽です。ペットと暮らす家庭では、留守中の事故を避ける意味でも、次のような点を内見で確認しておくことをおすすめします。
| 確認する場所 | 見るポイント | なぜ重要か |
|---|---|---|
| 天井・壁の上部・サッシまわり | シミ、変色、クロスの浮き、補修跡 | 過去に雨漏りがあった可能性。理由を管理会社に質問できる |
| 洗面台・キッチン下の収納 | 床板の変色、カビ臭、配管まわりの湿り | 給排水の微細な漏れは、入居前から存在することがある |
| ベランダ・排水口 | 落ち葉やゴミの詰まり、防水面のひび割れ | 排水が詰まると、雨水が室内に回るきっかけになる |
| 浴室・洗濯機置き場 | 防水パンの状態、排水口の流れ、ホース接続部 | 借主の使い方で事故が起きやすい場所。使い方の確認が必要 |
| 最上階・1階 | 最上階は屋根からの雨漏り、1階は湿気・排水逆流の履歴 | 階数によって起きやすいトラブルが違う |
| 管理体制 | 緊急連絡先、夜間対応の有無、修繕の依頼窓口 | トラブル時の初動の速さは、管理会社の体制で決まる |
気になる点があれば、「過去に雨漏りや水漏れの履歴はありますか」と、遠慮せずに質問してください。みずほ中央法律事務所の解説でも、破損が契約前から存在していた場合も貸主の修繕義務は変わらないとされています。入居前から不具合があった場合は、契約前に事実と修繕の予定を書面で確認しておくと安心です。
入居時の写真が、後の「言った・言わない」を防ぐ
入居当日、荷物を入れる前に、天井・壁・床・水まわりの写真を撮っておくことをおすすめします。日付が残るデータで、全体と近景を撮ります。もし入居前から天井にシミがあった場合、その写真が「入居前からの傷」であることを示す証拠になります。入居後に写真を撮り忘れると、後から「入居前からの不具合か、入居後にできた被害か」を示すのが難しくなります。
修繕義務と「契約不適合責任」の違いを知っておく
入居中の水トラブルに関連して、少しだけ専門的な話をしておきます。みずほ中央法律事務所の解説(民法606条の整理ノート)によると、貸主の修繕義務(606条1項)は、売買などで問題になる「契約不適合責任」(民法562条・559条)と重なる場面があります。契約不適合責任に基づく請求は、民法564条の1年の期間制限に服しますが、修繕義務は期間制限に服しない、と整理されています。
実務的には、「入居後1年を過ぎたら、もう請求できない」という単純な話ではない、ということです。入居してしばらくして雨漏りが見つかった場合でも、貸主の修繕義務が消えるわけではありません。ただし、気づいてから通知するまでの期間が長いと、被害が拡大し、借主の責任が議論される可能性があります。結局のところ、「気づいたらすぐ連絡する」という原則に戻ります。
「損害」として認められうるもの
修繕義務を果たさないことで借主に損害が生じた場合、みずほ中央法律事務所の解説では、民法415条以下の債務不履行にもとづく損害賠償の問題になるとされています。放置が一般的に必要な期間を超え、かつ具体的な損害が生じた場合に認められると整理されており、損害として転居費用が認められる場合や、事情によっては慰謝料が認められる場合もあると説明されています。実際に請求できるかどうかは、状況や証拠によって変わるため、弁護士などの専門家に相談するのが確実です。
よくある質問(Q&A)
まとめ:責任の分かれ目は「原因」と「初動」
賃貸の水漏れ・雨漏りで、責任を左右するのは、原因が建物側にあるのか、借主の使い方にあるのかという点と、気づいたあとの初動です。ここまでの内容を整理します。
- 建物・設備の側の原因(屋根、外壁、経年劣化した配管など)は、原則として貸主が修繕義務を負う(民法606条)。
- 雨漏りは建物の本質的な機能に関わるため、借主に修繕させる特約は無効になるのが通常とされる。
- 借主の使い方に原因がある場合や、気づいたのに放置して被害を広げた場合は、善管注意義務違反として借主が責任を問われるおそれがある。
- 階下に被害が出た場合は損害賠償の問題になる。加入中の火災保険の個人賠償・借家人賠償の特約を確認する。
- 修繕されないときは、民法611条の賃料減額と、607条の2の借主による修繕を、通知の記録をもとに検討する。
水のトラブルは、起きてしまったあとの対応で結果が大きく変わります。「気づいたら、記録して、すぐ連絡」。この3つを覚えておくだけで、後のトラブルをかなり防げます。そして何より、お部屋探しの段階で、建物の築年数や防水・配管の状態、管理会社の対応のよさまで含めて選ぶことが、入居後の安心につながります。ペッターズ不動産では、そうした視点も含めてお部屋探しをお手伝いしています。
