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「ペット不可」でも他人事じゃない――退去トラブルの原状回復費「30万円超」が過半数という現実

ペットと暮らす賃貸

 柴崎 孝行

筆者 柴崎 孝行

不動産キャリア22年

代表の柴崎です、ご覧いただきありがとうございます。

中古不動産のリノベーション会社、売買仲介会社、リフォーム会社、賃貸仲介等様々な不動産関係のお仕事に携わって参りました。

その経験の中で、賃貸不動産のペットの扱いがひどいと感じてペッターズ不動産を運営しております。

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ペットと暮らす賃貸 特集

「ペット不可」でも他人事じゃない
退去トラブルの原状回復費「30万円超」が過半数という現実

賃貸物件の所有者・管理者849人を対象にした調査では、ペット飼育が原因の退去トラブル経験率は23.67%、原状回復費用は「30万円〜50万円未満」が最多で、30万円以上かかった人は全体の52%にのぼりました。さらに驚くべきは、トラブル経験者の80.1%が「ペット不可のはずの物件」でもトラブルに遭遇していたという事実です。無断飼育のリスクと、いま増えている"ルールを守れる"ペット可賃貸という選択について、最新データをもとに解説します。

「ペットは禁止だから安心」という思い込みが、実は最もリスクの高い油断かもしれません。オーナー・入居者それぞれの視点から、今できる備えを整理していきます。

公開日:2026年9月27日 | 読了目安:13分
目次

1. 「ペットの退去トラブル」は他人事ではない――4人に1人が経験

「うちはペットを飼っていないから関係ない」——そう思っている賃貸オーナー・管理会社の担当者は多いかもしれません。しかし、ブルークリーン株式会社が2026年8月17日〜18日に実施した調査(直近5年内に賃貸物件を所有・管理した経験がある849人が対象)によると、ペット飼育が原因となる退去時のトラブルを経験した人は全体の23.67%、つまり約4人に1人にのぼることが分かりました。

埼玉・関東エリアでも賃貸経営やペット可物件への注目が高まる中、この数字は決して小さくありません。とりわけ、退去時にまとまった金額を請求されて初めてトラブルの存在に気づくケースが多く、事前に相場感やリスクを知っておくかどうかで、入居者・オーナー双方の対応の余裕は大きく変わってきます。まずは、実際にどのようなトラブルが起きているのか、具体的な内容を見ていきましょう。

「4人に1人」という数字は、賃貸経営における他のトラブル、例えば家賃滞納や騒音問題と比較しても決して低い水準ではありません。特にペットによる損耗は、退去の立会いという"最後の瞬間"になって初めて発覚することが多く、事前の話し合いや交渉の余地が少ないまま高額な請求につながりやすいという特徴があります。

例えば、入居時には特に何も言われなかったのに、退去の立会いで初めて「フローリング全面の張り替えが必要」「壁一面のクロス交換が必要」と告げられ、想定より何十万円も高い請求書を渡されて驚く、というケースは決して珍しくありません。入居者側からすれば「そこまでひどい傷ではないはず」という感覚と、管理会社側の「原状回復の基準に基づけば当然の金額」という感覚がかみ合わず、そのまま話し合いが平行線になってしまうことも多いのです。こうした認識のズレを防ぐには、退去の何ヶ月も前の段階から情報を共有しておくことが鍵になります。

こうした金銭トラブルは、当事者同士の関係悪化にもつながりやすいという側面もあります。長年住み続けた入居者と、良好な関係を築いてきたオーナーであっても、退去時の費用負担をめぐって意見が対立し、最終的に感情的なやりとりに発展してしまうことも少なくありません。だからこそ、契約時点でルールを明確にし、双方が納得できる形で費用の考え方を共有しておくことが、円満な退去につながる最善の方法だといえるでしょう。

トラブル経験率
23.67%
賃貸所有・管理者849人中
床材の傷・腐食
42%
トラブル内容の最多回答
壁紙・クロスの傷汚れ
40%
2番目に多い被害内容
建具(ドア・柱)の傷
38%
3番目に多い被害内容

2. 原状回復費用はいくらかかる?「30万円〜50万円未満」が最多

気になるのは、実際にどれくらいの費用がかかるのかという点です。同調査でトラブル経験者100人に費用感を尋ねたところ、「30万円〜50万円未満」と回答した人が34%で最多となりました。さらに「100万円以上」という回答も7%存在し、全体で見ると52%、つまり半数を超える人が30万円以上の原状回復費用を負担した経験があると回答しています(SUUMOジャーナル、ブルークリーン株式会社調べ)。

一般的な賃貸の原状回復費用が数万円〜十数万円程度で語られることが多い中、この金額感は決して軽視できるものではありません。しかも、費用を全額回収できたと回答した人は31%にとどまり、残りの69%は一部しか回収できていない、あるいは泣き寝入りに近い状態にあることも見えてきます。

なぜここまで費用が膨らむのでしょうか。ペットによる損耗は、爪による引っかき傷やフローリングへの尿の染み込みなど、表面だけでなく下地や躯体にまで影響が及ぶケースが少なくありません。クロスの張り替えだけで済めば数万円程度に収まることもありますが、床材の張り替えや消臭・除菌のための特殊クリーニングが必要になると、一気に数十万円単位の見積もりになることが珍しくないのです。さらに、退去のタイミングが集中する春先など繁忙期には、業者の手配自体に時間がかかり、費用交渉の余地がないまま請求額が確定してしまうケースもあります。

こうした高額請求のリスクに備える方法として、近年注目されているのがペット飼育者向けの家財保険や、ペットによる損害を補償する特約です。加入していれば、万が一の原状回復費用が発生した場合でも、保険で一部をカバーできる可能性があります。ただし、補償の対象となる損耗の範囲や上限額は保険会社・プランごとに異なるため、「入っているから安心」と過信せず、契約内容を事前にしっかり確認しておくことが大切です。

原状回復費用の分布(トラブル経験者100人)
30万未満
48%
30〜50万
34%
50〜100万
11%
100万以上
7%
出典:ブルークリーン株式会社「賃貸物件のペットトラブル調査」(2026年8月17〜18日実施)をもとに作成

3. 意外な事実:トラブル経験者の8割が「ペット不可物件」でも遭遇

ここが今回もっとも注目したいポイントです。ペットに関するトラブルというと「ペット可物件だから起きるもの」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。ところが同調査では、トラブル経験者のうち80.1%が「ペット飼育不可の物件」においてもトラブルに遭遇していたと回答しています(ブルークリーン株式会社調べ、ガジェット通信)。

つまり「契約でペット禁止と定めているから安心」というのは、必ずしも正しい前提ではないということです。むしろ、ルールが整備されていない不可物件のほうが、こっそりと飼育される「無断飼育」というかたちでトラブルの温床になっているケースが一定数存在することがうかがえます。

この事実は、賃貸オーナーや管理会社にとっても示唆に富んでいます。「うちはペット禁止だから、そうしたトラブルとは無縁」と考えて対策を後回しにしてしまうと、実際に無断飼育が起きたときの発見が遅れ、被害が拡大してから気づくという最悪のパターンに陥りやすくなります。逆に言えば、ペット可・不可にかかわらず、定期的な室内確認や契約時のルール説明といった基本的な対策を講じることが、結果的にトラブルの早期発見・早期対応につながるということでもあります。

無断飼育が長期化すればするほど、退去時に発覚した際の損耗は大きくなりがちです。数ヶ月程度であれば表面的な傷や汚れで済んでいたものが、1年、2年と時間が経つにつれて、床材の下地にまで臭いや湿気が染み込んだり、壁の内部にダニやノミが繁殖したりと、目に見えない部分まで被害が広がってしまうことがあります。「バレていないから大丈夫」と先延ばしにするほど、結果的に請求される金額が膨らみやすいという点は、入居者側も認識しておくべきリスクだと言えるでしょう。

トラブル経験者のうち
80.1%
が「ペット飼育不可」の物件でもトラブルに遭遇

4. なぜ"禁止"のはずの物件でトラブルが起きるのか

背景として考えられる要因はいくつかあります。まず、契約書でペット飼育を禁止していても、入居者が意図的、あるいは「少しの間だけなら」といった軽い気持ちで無断飼育に踏み切ってしまうケースです。同調査では、オーナー・管理会社側の今後の対策として「定期的に室内の状況を確認する」と回答した人は34%にとどまっており、日常的な見回りやチェック体制が十分に機能していない実態も見えてきます。

また、無断飼育は「バレなければ追加費用を払わずに済む」という経済的な誘因が働きやすい構造でもあります。実際、リドックスの賃貸管理コラムでも、こっそり飼育していた入居者に対して退去時に原状回復費用を請求できるかどうかは、証拠の有無や契約内容の記載によって結果が左右されると解説されています。結果として、費用を全額回収できたオーナーが31%にとどまるという先ほどの数字にもつながっていると考えられます。

さらに見落とされがちなのが、単身向けの小型物件や、もともとペットに関する取り決めが曖昧な古い契約書を使っている物件です。こうした物件では「動物の飼育を禁ずる」という一文だけが記載され、具体的にどのような損耗が入居者負担になるのか、敷金からどこまで差し引かれるのかが明記されていないケースも見られます。契約書の記載が曖昧なままトラブルが発生すると、話し合いが平行線をたどりやすく、最終的に費用回収が難航する一因にもなっています。

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「無断飼育のリスクを避けたい」「最初からルールが明確なペット可物件に住み替えたい」という方は、ペッターズ不動産までお気軽にご相談ください。

5. 費用は誰が払う?国交省ガイドラインの「A区分・B区分」

原状回復費用の負担割合を考えるうえで基本となるのが、国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。国土交通省の解説によると、損耗は大きく「A区分:賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの」と「B区分:賃借人の住まい方、使い方次第で発生したり、しなかったりすると考えられるもの」に分類され、B区分およびA(+B)に該当する部分については賃借人(入居者)に原状回復義務があるとされています。

ペットによる引っかき傷や臭いの付着、床材の腐食といった損耗は、通常の生活では発生しない「使い方次第」の損耗として扱われやすく、東急リバブルの解説やアパート経営オンラインの記事でも、ペットによる損耗は入居者負担になりやすいと整理されています。だからこそ、無断飼育が発覚した場合、契約違反に加えて高額な原状回復費用を請求されるリスクが現実のものとなるのです。

一方で、ペットによる損耗であっても、経年劣化や自然消耗の範囲を超えていない部分まで一律に入居者へ請求することは、ガイドラインの趣旨に照らして適切とは言えません。例えば、日光による畳やクロスの変色といった経年変化は、ペットの有無にかかわらずA区分(通常損耗)として扱われるのが一般的です。トラブルを避けるためには、入居時点の状態を写真で残しておき、退去時にどこまでが「もともとの経年劣化」で、どこからが「ペットによる使用方法次第の損耗」なのかを、双方が納得できる形で切り分けることが重要になります。

なお、国交省のガイドラインはあくまで民間賃貸借契約における「一般的な基準」を示すものであり、個々の契約書に特約として異なる取り決めが明記されている場合は、そちらが優先されることもあります。ペット可物件の契約書では「ペットによる損耗は理由の如何を問わず賃借人負担とする」といった特約が設けられているケースも多く、契約時にこうした条項の有無をしっかり確認しておくことが、退去時の想定外のトラブルを防ぐ第一歩になります。

契約書を確認する際にチェックしておきたいのは、①ペットによる損耗の負担者が明記されているか、②敷金からの充当方法や上限額の記載があるか、③退去時の立会いにどのような基準が用いられるか、の3点です。これらが曖昧なまま契約してしまうと、いざ退去というタイミングになって「思っていた金額と違う」という事態を招きやすくなります。契約前の重要事項説明の段階で、遠慮せずに担当者へ質問しておくことをおすすめします。

6. 無断飼育が発覚したときに起こること

無断飼育が発覚した場合、一般的には次のような流れをたどることが多いとされています。まず管理会社やオーナーからの是正勧告・注意があり、改善が見られない場合は契約解除や退去勧告に発展することがあります。加えて、退去時には通常の原状回復費用に加え、ペットによる損耗分の追加請求が行われるのが一般的です。

今回の調査でも、今後の対策として「ペット飼育契約内容の見直し」を挙げたオーナー・管理会社が49%と最も多く、次いで「ルールの厳格化」が31%となっています。つまり、貸主側もこの数年で無断飼育への警戒を強めており、以前より発覚・追及されやすい環境になりつつあると考えられます。「バレなければ大丈夫」という考え方は、今後さらにリスクの高い選択になっていくでしょう。

また、無断飼育は近隣住民からの通報がきっかけで発覚することも少なくありません。鳴き声や足音、共用部でのペットとの遭遇などをきっかけに管理会社へ相談が寄せられ、そこから室内確認に至るケースです。近隣トラブルという形で表面化する以上、当事者である入居者本人が「うまく隠せている」と思っていても、実際には管理会社側にすでに気づかれている、というケースも十分にあり得ます。契約違反が明らかになった場合、退去までの猶予期間が短く設定されることもあり、次の住まい探しを慌ただしく進めざるを得なくなる点も見逃せないリスクです。

さらに、家賃保証会社を利用して契約している場合、契約違反が保証会社にも共有され、その後の別物件への入居審査に影響する可能性もゼロではありません。連帯保証人を立てている場合は、退去費用の未払いが生じた際に保証人へ連絡がいくこともあり、無断飼育による契約違反は、本人だけでなく周囲の人にまで影響が及びかねない問題だという点も理解しておく必要があります。

実際の対応としては、まず口頭での注意・指導が行われ、それでも改善が見られない場合に書面での是正勧告、そして最終手段として契約解除の通知という段階を踏むのが一般的な流れです。ただし、悪質性が高いと判断された場合や、他の入居者への被害(アレルギーや衛生面の問題など)が深刻な場合には、こうした段階を経ずに早期の契約解除に至るケースもあります。いずれにしても、一度信頼関係が崩れてしまうと、その後の交渉は入居者側にとって不利に進みやすいという点は覚えておきたいポイントです。

7. 一方で「ペット可物件」を選ぶとどうなるか

では、最初からルールの明確な「ペット可物件」を選んだ場合はどうでしょうか。株式会社LIFULLが2025年4月に実施した「ペットとの住まい探しの実態調査」(5年以内にペット可物件を契約した20〜50代の1,100人が対象)によると、ペット可物件は年々増加傾向にあり、LIFULL HOME'S掲載物件のうちペット可物件の割合は2022年3月の12.9%から2025年3月には19.3%まで上昇しています。

最初から飼育が認められている物件であれば、無断飼育に伴う契約違反や追加費用のリスクを避けられるほか、近隣トラブルが起きた際にも管理会社に相談しやすいという安心感があります。実際、同調査ではペット飼育を理由に近隣から注意・要請を受けた経験がある人が66.5%にのぼると回答しており、ペットとの暮らしには一定のトラブルがつきものであることも事実です。だからこそ、ルールが整った環境を選ぶことの意味は小さくありません。

ペット可物件が増加している背景には、単身世帯や高齢世帯を中心に、ペットを"家族の一員"として位置づける価値観が定着してきたことが挙げられます。以前は郊外の一戸建てや低層の古い物件に限られがちだったペット可賃貸ですが、近年では新築のファミリー向けマンションや、ペットの足腰に配慮した床材・洗い場付きの玄関を備えた「ペット共生型」の物件も徐々に登場するようになりました。選択肢が広がりつつあること自体が、飼育者にとっては住まい探しのハードルを下げる材料になっています。

「ペット可」と「ペット共生型」は似ているようで、実際には設備の充実度に差があることも知っておきたいポイントです。単に飼育を許可しているだけの「ペット可」に対し、「ペット共生型」は傷に強い床材、消臭機能付きの内装、共用部のペット専用足洗い場やドッグランなど、ペットとの暮らしを前提に設計された物件を指すことが一般的です。当然ながら、共生型の物件は原状回復トラブルそのものが起きにくい構造になっていることが多く、初期費用や家賃が多少高くても、長期的に見ればトラブル対応コストを抑えられる可能性があります。

埼玉エリアでも、こうした共生型の設備を備えた新築マンションが少しずつ登場してきています。まだ築古のペット可物件が主流を占めている地域が多い中で、設備面まで配慮された物件は競争率が高くなりやすい傾向があります。「ペットと快適に暮らしたい」「原状回復トラブルのリスクをできるだけ抑えたい」という希望をお持ちの方は、こうした共生型物件の有無も含めて、早めに情報収集を始めることをおすすめします。

ペット可物件の割合の推移(LIFULL HOME'S掲載物件)
12.9% 2022年3月 19.3% 2025年3月
出典:株式会社LIFULL「ペットとの住まい探しの実態調査」(2025年)をもとに作成

8. 家賃は3.4万円高いのに、16.6日早く決まるからくり

同じくLIFULL HOME'Sのデータ(2024年4月〜2025年3月の掲載物件が対象)によると、ペット可物件の平均賃料は112,771円、ペット不可物件は78,253円で、その差は34,518円にのぼります。一般的には「家賃が高い物件は決まりにくい」と思われがちですが、実際には成約までの期間もペット可物件のほうが平均66.8日、ペット不可物件が平均83.4日と、ペット可物件のほうが16.6日短く、早く決まりやすいという結果が出ています。

項目 ペット可物件 ペット不可物件
平均賃料 112,771円 78,253円
平均成約日数 66.8日 83.4日

出典:株式会社LIFULL「ペットとの住まい探しの実態調査」(2025年)

この理由としては、ペット可物件の絶対数が少なく、飼育者にとって選択肢自体が限られていることが挙げられます。同調査では、ペット可物件を探した経験者の91.6%が「住まい探しで不便を感じた」と回答し、その理由の34.4%が「ペット可物件の数が少ないこと」でした。需要に対して供給が追いついていないからこそ、多少家賃が高くても早く成約に至りやすいと考えられます。

加えて、一般的な賃貸探しでは82.1%が2ヶ月以内に契約に至るのに対し、ペット飼育者に限ると71.3%まで低下し、2ヶ月以上の長期戦になる割合が9.1ポイント高いというデータもあります。「早く決まりやすい」という先ほどのデータと一見矛盾するようですが、これは「条件に合う物件を見つけるまでに時間がかかる一方で、いざ条件に合う物件が見つかれば競争率が高く、すぐに申し込みが入って決まってしまう」という二段階の構造を表していると考えられます。つまり、ペット可物件は"見つけるまでが大変で、見つかった後は早い"というのが実態に近いのです。

この「見つけるまでが大変」という段階でつまずいてしまう方が非常に多いのも実情です。一般公開されているポータルサイトの検索条件だけでは、ペット可物件の絞り込みそのものが難しく、さらに希望するエリア・間取り・家賃帯まで加えると該当する物件がほとんど出てこない、というケースも珍しくありません。こうした状況では、地域の物件情報に詳しい不動産会社に直接相談し、公開前の情報も含めて紹介してもらうことが、結果的に近道になることが多いといえます。

また、犬種・猫種やサイズによって受け入れ条件が細かく分かれている点にも注意が必要です。同じ「ペット可」表記の物件であっても、小型犬1頭までとする物件もあれば、中型犬や多頭飼いまで許容する物件もあり、条件は物件ごとに大きく異なります。希望の飼育スタイルと物件の条件が合っているかどうかを、契約前にきちんとすり合わせておくことが、入居後のミスマッチを防ぐうえで欠かせません。

さらに、すでにペットを飼育している方が住み替えを検討する場合は、現在の住まいでの飼育状況(頭数・サイズ・しつけの状況など)を正直に伝えることも大切です。入居審査の段階で正確な情報を共有しておくことで、オーナー側も受け入れの判断がしやすくなり、結果的にスムーズな契約につながります。逆に、審査を通すために情報を控えめに伝えてしまうと、入居後に「話と違う」というトラブルの火種になりかねません。

9. それでも「ペット可」は全体の2割未満という現実

前述の通り、ペット可物件の割合は2025年3月時点でも19.3%、つまり全体の2割に届いていません。不動産会社の担当者を対象にした同調査(LIFULL HOME'S加盟店で接客頻度が週1回以上の担当者131人が対象)では、67.2%が「ペット可物件へのニーズが増えている」と実感している一方で、供給が追いついていない実態が浮き彫りになっています。

オーナーがペット不可とする理由としては「破損や汚れ、修繕費への懸念」が74.2%で最多でしたが、同調査ではこの懸念が必ずしも実体験に基づくものだけでなく、周囲から聞いた話やイメージによって形成されているケースもあると指摘されています。裏を返せば、飼育ルールや原状回復に関する取り決めを契約時にきちんと明文化することで、オーナー側の不安を軽減できる余地があるとも言えるでしょう。

また、不動産会社の担当者への調査では、入居希望者からのペット関連トラブルの相談対応について「よくある」が6.1%、「時々ある」が58.3%で、合わせて約6割が何らかの形でペットに関する相談・トラブル対応の経験があると回答しています。これは裏を返せば、不動産会社にとってペット可物件の取り扱いは、もはや一部の専門店だけの話ではなく、日常的な業務の一部になりつつあるということでもあります。埼玉エリアのように住宅ストックが豊富な地域では、ペット可への切り替えを検討するオーナーが増えれば、供給不足の解消にもつながっていく可能性があります。

特に、築年数の経過した物件を多く抱えるオーナーにとって、ペット可への切り替えは空室対策の有効な選択肢のひとつになり得ます。新築のファミリー向けマンションとの家賃競争が難しい築古物件であっても、「ペットと暮らせる」という付加価値を明確に打ち出すことで、周辺のペット不可物件との差別化を図り、入居希望者からの問い合わせを増やせる可能性があります。実際に、今回のデータで示された「家賃3.4万円アップ、成約16.6日短縮」という数字は、こうした築古物件のオーナーにとっても十分に検討する価値のある選択肢であることを裏付けていると言えるでしょう。

私たちペッターズ不動産にも、埼玉エリアでペットと暮らせる物件を探している方からのお問い合わせが日々寄せられています。特にマンションタイプのペット可物件は人気が高く、公開後すぐに申し込みが入ってしまうことも珍しくありません。だからこそ、ホームページに掲載されている物件だけでなく、まだ公開されていない情報も含めて早めに相談しておくことが、希望条件に近い住まいと出会うための現実的な近道になります。

不便を感じた経験
91.6%
理由「物件数が少ない」
34.4%
近隣から注意された経験
66.5%
ニーズ増加を実感(業者)
67.2%

10. オーナー目線:ペット可経営のリスクとリターン

賃貸オーナーの立場からすると、「ペット不可にすれば安心」という考え方は、今回のデータを踏まえると必ずしも正しくありません。無断飼育によるトラブルは不可物件でも一定数発生しており、むしろルールが存在しない分、発覚が遅れて被害が拡大しやすいという側面もあります。

一方でペット可物件として運用する場合は、家賃を高めに設定できるうえに早期成約が期待できるというメリットがあります。もちろん、飼育ルールの明文化、敷金の上乗せ、退去時の立会い強化といった対策は欠かせませんが、「禁止すればリスクがゼロになる」わけではないという前提に立ち、どちらの経営スタイルを選ぶにしても契約内容を明確にしておくことが重要だと言えるでしょう。

具体的な対策としては、飼育できるペットの種類・サイズ・頭数を契約書に明記すること、敷金を通常より1〜2ヶ月分上乗せする「ペット敷金」を設定すること、入居時と退去時の両方で室内の状態を写真付きで記録し双方が確認・署名すること、といった運用が考えられます。さらに、原状回復費用の目安をあらかじめ重要事項説明の段階で入居希望者に伝えておくことで、「聞いていなかった」という認識のズレによるトラブルを防ぎやすくなります。管理会社と連携し、こうした運用ルールを物件ごとに整備しておくことが、長期的に見て空室リスクとトラブルリスクの両方を抑えることにつながります。

また、入居後のフォローも重要なポイントです。年に一度程度、定期点検という名目で室内の状況を確認する機会を設けているオーナーや管理会社もあります。これは無断飼育の早期発見だけでなく、正規にペットを飼育している入居者にとっても、日頃の手入れ状況を評価してもらえる機会になり、双方にとって安心材料になります。管理会社を通じて、入居者との適度なコミュニケーションを保つことが、結果的にトラブルを未然に防ぐ最も現実的な方法だと言えるでしょう。

11. 入居者ができる自衛策

入居者の立場からできる対策としては、まず何よりも「ペット可」と明記された物件を選び、契約書に飼育できる頭数や犬種・猫種の範囲まで確認しておくことが基本です。そのうえで、入居時の室内の状態を写真や動画で記録しておくと、退去時に「元からあった傷」なのか「飼育による損耗」なのかを客観的に示す材料になります。

また、ペット飼育者向けの家財保険や、ペットによる汚損・破損を補償する特約が用意されている場合もあります。加入できる保険の有無や補償範囲は物件やプランによって異なるため、契約前に管理会社へ確認しておくと安心です。埼玉県内でも、ペットと暮らせる物件は増えてきていますが、まだ全体の2割に満たない状況だからこそ、条件に合う物件は早めに動くことが成約への近道になります。

さらに、日々の暮らし方を工夫することでも損耗を抑えることができます。爪とぎ防止のシートやコーナーガードを設置する、フローリング用のペット対応コーティング剤を使う、こまめな換気と消臭ケアで臭いの染み付きを防ぐ、といった対策は特別な費用をかけずに始められるものばかりです。退去時に「これだけ気をつけていました」と説明できる状態を保っておくことも、原状回復費用の交渉において有利に働く材料になります。無断飼育を選ばず、正規のペット可物件でこうした対策を積み重ねることが、結果的にもっとも費用を抑えられる選択だと言えるでしょう。

住まい探しの段階では、内見時に「過去にペットを飼育していた履歴があるか」「共用部にペット関連の設備があるか」を確認しておくのもおすすめです。ペット可物件として運用されてきた実績がある物件は、床材や設備がある程度ペットの生活に適した仕様になっていることが多く、結果的に新たな損耗が発生しにくい傾向があります。逆に、ペット可に切り替えたばかりで設備が通常仕様のままの物件では、日常的なケアをより丁寧に行う意識を持つことが、退去時のトラブル予防につながります。

最後に、退去が決まった段階での動き方も重要です。退去日が決まったら早めに管理会社へ連絡し、可能であれば事前内覧の形で室内の状態を一緒に確認してもらうことで、正式な立会い当日に想定外の指摘を受けるリスクを減らせます。ハウスクリーニングを自主的に手配しておくことも、原状回復費用の交渉材料になり得ます。こうした一つひとつの積み重ねが、「ペットと暮らしても安心して退去できる」という結果につながっていきます。

12. Q&A:よくある質問

Q. ペット不可物件で無断飼育がバレると、必ず高額請求されますか?

必ずしも金額が一律というわけではありませんが、国土交通省のガイドラインでは、ペットによる損耗は「使い方次第で発生する損耗(B区分)」として賃借人負担になりやすいと整理されています。実際の調査でも原状回復費用が30万円以上になった人が52%にのぼっており、決して珍しいケースではありません。

Q. ペット可物件のほうがトラブルは少ないのですか?

トラブル自体がゼロになるわけではありません。LIFULL HOME'Sの調査でも、ペット可物件の飼育者の66.5%が近隣から注意・要請を受けた経験があると回答しています。ただし、ルールが明確な分、管理会社に相談しやすく、無断飼育特有の「隠す・発覚する・追及される」という悪循環は避けやすくなります。

Q. ペット可物件はなぜ家賃が高いのですか?

LIFULL HOME'Sのデータでは、ペット可物件の平均賃料はペット不可物件より34,518円高いという結果が出ています。背景には、飼育による損耗リスクを見込んだ賃料設定に加え、物件の絶対数が少なく需要が供給を上回っていることが影響していると考えられます。

Q. 入居前にできる、原状回復トラブルの予防策はありますか?

入居時に室内の状態を写真や動画で記録しておくこと、契約書でペット飼育に関する条件(頭数・犬種猫種・敷金の扱いなど)を具体的に確認しておくことが基本です。あわせて、原状回復費用の目安について事前に管理会社へ質問しておくと、退去時の想定外の請求を減らすことができます。

Q. すでにペット不可物件で飼育してしまっている場合、どうすればよいですか?

まずは自己判断で放置せず、早めに管理会社へ相談することが望ましいとされています。物件によっては、条件付きで飼育が認められたり、ペット可物件への住み替えを案内してもらえたりするケースもあります。発覚が遅れるほど損耗が拡大し、費用や契約解除のリスクが高まりやすいため、早期の相談が結果的に負担を軽くすることにつながります。

Q. ペット可物件への住み替えは、どのタイミングで動くのがよいですか?

ペット可物件はまだ全体の2割に満たず、条件に合う物件が出ると早期に成約してしまう傾向があります。「そのうち探そう」と後回しにするより、飼育を検討し始めた段階から情報収集を始め、公開前の未公開物件情報なども含めて相談しておくことで、希望条件に合う物件に出会える可能性が高まります。

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ペッターズ不動産では全物件数約4,000件のうち、HP掲載済みは約1,000件、まだ公開していない未公開物件も約3,000件ご用意しています。ご希望の条件をお伝えいただければ、公開前の物件もあわせてご紹介可能です。

13. まとめ:「隠す」より「選ぶ」時代へ

今回見てきたデータを整理すると、ペットに関する退去トラブルは全体の23.67%が経験し、原状回復費用は30万円以上が過半数(52%)にのぼる一方で、そのトラブルの80.1%は「ペット不可物件」でも発生しているという事実が浮かび上がりました。「禁止すれば安心」という前提そのものが揺らいでいると言えるでしょう。

その一方で、ペット可物件は2022年から2025年にかけて12.9%から19.3%へと増加し、家賃は平均34,518円高いものの、成約までの期間は16.6日短いというデータもあります。無断飼育という"隠す"選択のリスクを踏まえると、最初からルールの明確な物件を"選ぶ"ことが、結果的にオーナーにとっても入居者にとっても安心につながる時代になってきているのではないでしょうか。

ペットは家族の一員である一方、賃貸住宅はいずれ退去して次の入居者へと引き継がれる「共有の資産」でもあります。この二つの立場をどう両立させるかが、これからの賃貸市場における大きなテーマになっていくはずです。オーナーにとっては「禁止すれば安心」ではなく「ルールを整えて受け入れる」という発想の転換が、入居者にとっては「隠して飼う」ではなく「認められた環境で正々堂々と暮らす」という選択が、双方にとって結果的にコストとストレスの少ない道につながるのではないでしょうか。埼玉エリアで住まい探しをされている方は、ぜひ今回のデータも参考にしながら、ご自身とペットにとって無理のない住環境を検討してみてください。

今回ご紹介した数字は、いずれも2025年から2026年にかけての比較的新しい調査によるものです。ペット可物件をめぐる状況は、供給戸数の増加や各不動産会社の取り組みによって、今後も少しずつ変化していくことが予想されます。だからこそ、住まい探しやオーナー経営を検討する際には、こうした最新の市場データを定期的にチェックしながら判断していくことが、後悔のない選択につながるはずです。ペットとの暮らしを検討されている方は、無断飼育というリスクの高い選択肢ではなく、最初から安心して相談できる環境を選ぶことをおすすめします。

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出典・参考資料
・ブルークリーン株式会社「賃貸物件のペットトラブル調査」プレスリリース(PR TIMES) //prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000042172.html
・SUUMOジャーナル「賃貸でのペット飼育トラブル!原状回復費用は『30万円〜50万円未満』が最多」 //suumo.jp/journal/2026/09/09/220402
・Yahoo!ニュース(SUUMOジャーナル配信) //news.yahoo.co.jp/articles/414b9280a161a074f36178105cfdc8b22b599e8c
・ガジェット通信「賃貸でのペット飼育トラブル!原状回復費用は『30万円〜50万円未満』が最多」 //getnews.jp/archives/3741996
・株式会社LIFULL「ペットとの住まい探しの実態調査」 //lifull.com/news/43335/
・オーナーズ・スタイル・ネット「ペット可賃貸は家賃3万円アップ&不可物件よりも17日早く成約!」 //owners-style.net/article/detail/206733/
・国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」 //www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html
・東急リバブル「原状回復ガイドラインに基づく『経年劣化』と『入居者負担』の区分解説」 //www.livable.co.jp/fudosan-toushi/knowledge/basic/pro88/
・リドックス「こっそりペットを飼っていた入居者に退去時の原状回復費用は請求できるの?」 //theredocs.com/pm/cancel/pet_cost
・アパート経営オンライン「ペット飼育可能な物件のオーナーが知っておくべき『原状回復義務』の実際」 //realestate-owner.com/article/owner0026/

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