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「一瞬の隙」が招くペットの脱走トラブル。賃貸物件での責任と防止策を正確に解説

ペットと暮らす賃貸

 柴崎 孝行

筆者 柴崎 孝行

不動産キャリア22年

代表の柴崎です、ご覧いただきありがとうございます。

中古不動産のリノベーション会社、売買仲介会社、リフォーム会社、賃貸仲介等様々な不動産関係のお仕事に携わって参りました。

その経験の中で、賃貸不動産のペットの扱いがひどいと感じてペッターズ不動産を運営しております。

私自身も愛犬家ですので、お客様の目線に合わせた提案が得意です。


お気軽にご相談お待ちしています

「一瞬の隙」が招くペットの脱走トラブル。
賃貸物件での責任と防止策を正確に解説

玄関を開けた瞬間、網戸のわずかな隙間から——ペットの脱走は、どんなに気をつけていても起こりうる事故です。単に「探すのが大変」というだけでなく、脱走したペットが交通事故を引き起こしたり、誰かに怪我をさせてしまったりした場合、飼い主には法律上の重い責任が生じます。今日は、脱走トラブルの法的な位置づけと、賃貸物件でできる具体的な防止策について、データや判例を交えて詳しくお伝えします。

「うちの子は大人しいから大丈夫」——そう思っていても、パニックになった動物の行動は予測できません。正しい知識を持って備えることが、ペットとご自身、そして周囲の方を守ることにつながります。

この記事でお伝えすること

① 脱走はどれくらい起きているのか

② 脱走した動物が事故を起こした場合の法的責任

③ 実際の裁判例に見る責任の判断基準

④ 咬傷事故という、もうひとつのリスク

⑤ 賃貸物件でできる脱走防止策

⑥ もし脱走してしまったら

⑦ 物件選びの段階でできること

① 脱走はどれくらい起きているのか

環境省の統計資料によると、令和6年度(2024年度)だけで犬猫あわせて39,409頭が動物愛護センターに引き取られており、その中には飼い主から離れて迷子になった、いわゆる「所有者不明」の個体も多く含まれています(出典:公益財団法人動物環境・福祉協会Eva「犬猫の引取り数と殺処分数」、環境省統計資料を基に構成)。

埼玉県をはじめ、多くの自治体が「犬や猫を逃がしてしまった飼い主の方へ」という専用の案内ページを設けており、保健所・動物指導センター・警察署への通報を呼びかけています(出典:埼玉県公式ホームページ)。裏を返せば、それだけ脱走が日常的に発生している証拠でもあります。玄関やベランダのちょっとした油断が、大きなトラブルにつながる可能性を、まずは正しく認識しておくことが大切です。

② 脱走した動物が事故を起こした場合の法的責任

脱走したペットが交通事故を引き起こしたり、通行人に怪我をさせたりした場合、飼い主は民法第718条第1項の「動物の占有者等の責任」を問われます。この条文は、動物の占有者はその動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負うと定めており、「動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をした」ことを証明できない限り、責任を免れることはできません(出典:東京都動物愛護相談センター「ワンニャンとうきょう」ペットの飼い主にふりかかる法的トラブル)。

通常の不法行為責任(民法第709条)とは異なり、被害者側が飼い主の過失を証明する必要はなく、飼い主側が「自分に落ち度がなかったこと」を立証しなければならないという、飼い主にとって厳しい構造になっている点は、必ず理解しておく必要があります(出典:兵庫県弁護士会「くらしの法律相談」解説記事)。

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③ 実際の裁判例に見る責任の判断基準

脱走に関する裁判例を見ると、状況によって判断が分かれていることが分かります。長野地方裁判所上田支部の昭和55年5月15日判決では、公道に飛び出した飼い犬に接触してオートバイが転倒した事故について、犬の危険な性質が現れた行動とはいえないとして、民法718条の適用が否定されました(出典:弁護士による大阪交通事故相談ネット「飼い犬が原因で交通事故が生じた場合の飼い主の責任」解説記事)。

一方で、別の解説では、散歩中に飼い主が握っていたリードを犬が振り払って道路に飛び出し、車と衝突した事故で、自動車側に20%の過失が認められた例や、住宅の玄関から飛び出した犬とぶつかった事故で自動車側に35%の過失が認められた例も紹介されています(出典:交通事故オンライン損害賠償編「動物と衝突した場合の過失/犬」)。つまり、脱走の状況や管理方法によって、飼い主の責任の重さは大きく変わるということです。「相当の注意」を尽くしていたかどうかが、常に問われる基準になります。

④ 咬傷事故という、もうひとつのリスク

脱走時に見過ごせないのが、咬傷事故のリスクです。環境省の調査によると、令和3年度の犬の咬傷事故件数は4,423件、被害者数は4,568人にのぼり、そのうち飼い主・家族以外の被害者が4,113人と大部分を占めています(出典:小林裕彦法律事務所コラム「飼い犬の咬傷事故に関する法的責任」、環境省調査を基に構成)。

脱走時にパニックになった動物は、普段は大人しい性格であっても、予測できない行動を取ることがあります。実際の裁判例でも、走ってきた子どもに驚いた小型犬がパニックを起こし、飼い主が制御できずに怪我をさせてしまったケースが紹介されており、飼い主は治療費・通院交通費・慰謝料・弁護士費用の一部などの賠償責任を負うとされています(出典:東京都動物愛護相談センター「ワンニャンとうきょう」)。

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⑤ 賃貸物件でできる脱走防止策

1. 玄関の「二段階」対策

玄関ドアを開けた瞬間に飛び出してしまうケースは非常に多く報告されています。玄関先にペットゲートを設置し、ドアと室内の間に一段階クッションを設けることが効果的です。

2. 網戸・窓の強度確認

猫の場合、網戸を自分で開けたり突き破ったりして脱走するケースが多く見られます。内見時に網戸のロック機構や強度を確認し、必要に応じて補助ロックを追加することをおすすめします。

3. ベランダ・バルコニーの対策

高層階でも油断は禁物です。ベランダの手すりの隙間や柵の高さを確認し、必要であれば脱走防止ネットを設置しましょう。

⑥ もし脱走してしまったら

万が一脱走してしまった場合は、なるべく早く行動することが重要です。日本動物福祉協会の案内では、いなくなった場所の保健所、自治体の動物愛護センター、交番・警察署へ速やかに連絡することが推奨されています(出典:公益社団法人日本動物福祉協会「迷子動物について」)。あわせて、環境省が運営する収容動物検索情報サイトを定期的に確認することも有効です(出典:環境省「収容動物検索情報サイト」)。

日頃から迷子札やマイクロチップを装着しておくことも、環境省が強く推奨している対策です(出典:環境省「収容動物検索情報サイト」)。マイクロチップが装着されている場合、収容された動物愛護センターから直接飼い主へ連絡が入るケースもあり、発見までの時間を大きく短縮できます。

⑦ 物件選びの段階でできること

脱走リスクは、実は物件選びの段階からある程度コントロールできます。玄関が共用廊下に直接面していない間取り、窓やベランダの構造がしっかりしている物件を選ぶことで、日常的なリスクを減らすことができます。

当社では、内見の際にこうした脱走リスクの観点からもチェックを行い、必要に応じて補助的な設備の設置についてもアドバイスしています。ペットの脱走グセや性格に応じたご相談も承っていますので、お気軽にお声がけください。

動物の種類によって異なる脱走の傾向

脱走のパターンは、飼育している動物の種類によっても異なります。

犬の場合

散歩中のリードの外れや、来客時の玄関からの飛び出しが典型的です。雷や花火などの大きな音に驚いてパニックになり、フェンスを飛び越えてしまうケースも報告されています。特に運動量の多い犬種は、日々のストレス発散が不十分だと、脱走願望が強まる傾向があるとも言われています。

猫の場合

網戸を自力で開けてしまう、わずかな隙間から抜け出すなど、犬とは異なる脱走パターンが多く見られます。猫は狭い隙間でも通り抜けられる身体能力を持つため、「ここは大丈夫」と思っていた場所からの脱走が意外と多いのが特徴です。

小動物・鳥類の場合

ケージの扉の閉め忘れや、掃除中の一時的な放し飼いの際に逃げてしまうケースが典型的です。特に鳥類は一度外に出ると飛び去ってしまうため、発見が難しくなる傾向があります。ケージ周りの管理を徹底することが最も重要な対策になります。

今日からできる脱走防止チェックリスト

☐ 玄関にペットゲート・二重扉を設置している

☐ 網戸に補助ロックを付けている

☐ ベランダ・バルコニーの隙間や柵の高さを確認している

☐ 散歩時のリード・ハーネスの劣化を定期的にチェックしている

☐ マイクロチップ・迷子札を装着している

☐ 個人賠償責任保険に加入している、または加入を検討している

知っておきたい用語集

動物占有者責任:民法718条に基づき、動物の占有者がその動物による他人への損害を賠償する責任。一般の不法行為責任より重い立証責任が課される。

相当の注意:動物の種類・性質に応じて通常払うべき管理上の注意義務。これを尽くしていたと証明できれば、飼い主は責任を免れる。

過失相殺:被害者側にも落ち度があった場合に、賠償額から一定割合を差し引く民法上の考え方。

マイクロチップ:動物の体内に埋め込む小型の個体識別装置。保護された際に飼い主情報を照会できる。2022年6月から犬猫の販売業者等には装着が義務化されている。

よくある質問(Q&A)

Q. 脱走した犬が事故を起こした場合、賃貸物件の管理会社にも責任がありますか?

A. 原則として、動物の占有者である飼い主が責任を負います。ただし、共用部の設備に明らかな不備があった場合など、状況によっては管理会社側の責任が問われる可能性もゼロではありません。個別の状況によって判断が異なります。

Q. ペット保険は脱走時の事故にも対応していますか?

A. 個人賠償責任保険に加入していれば、脱走した動物が他人に損害を与えた場合の賠償責任をカバーできる場合があります。加入内容によって条件が異なるため、契約内容の確認をおすすめします。

まとめ|「一瞬の隙」への備えが、大きな安心につながる

ペットの脱走は、飼い主にとって民法718条に基づく重い責任を伴う可能性がある、決して軽視できないリスクです。玄関や網戸の対策、マイクロチップの装着といった日々の備えに加え、物件選びの段階から脱走リスクを意識することが、ペットとご自身、そして周囲の方を守ることにつながります。当社では、こうした視点も踏まえた物件のご提案を行っています。まずはお気軽にご相談ください。

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