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ペットトラブルで更新拒否・強制退去はあり得るのか。法律と実際の手続きを正確に解説

ペットと暮らす賃貸

 柴崎 孝行

筆者 柴崎 孝行

不動産キャリア22年

代表の柴崎です、ご覧いただきありがとうございます。

中古不動産のリノベーション会社、売買仲介会社、リフォーム会社、賃貸仲介等様々な不動産関係のお仕事に携わって参りました。

その経験の中で、賃貸不動産のペットの扱いがひどいと感じてペッターズ不動産を運営しております。

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PETTERS REAL ESTATE COLUMN

ペットトラブルで更新拒否・強制退去はあり得るのか。
法律と実際の手続きを正確に解説

2026年7月4日更新

「鳴き声のクレームが何度も来ている」「もしかしたら更新を拒否されるかもしれない」——ペットとの暮らしの中で、こうした不安を抱えたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。今日は、「更新拒否」と「強制退去」がそれぞれ法律上どう扱われるのか、そして実際にそこへ至るまでにどんな手続きが必要になるのかを、正確に整理してお伝えします。

結論を先にお伝えすると、どちらも「大家様の一存ですぐに実行できるもの」ではありません。法律で定められた手順と、相応の時間・費用がかかります。正しい知識を持つことで、過度に不安になる必要も、逆に問題を軽視することも避けられます。

この記事でお伝えすること

① 「更新拒否」と「強制退去」は、実は別のもの

② 更新拒否には「正当事由」が必要

③ 契約期間中の解除は「信頼関係破壊」が基準

④ 明渡し訴訟の流れと期間

⑤ 強制執行(断行)に至るまでの手続きと費用

⑥ トラブルを深刻化させないために

① 「更新拒否」と「強制退去」は、実は別のもの

まず整理しておきたいのが、この2つの言葉の違いです。「更新拒否」は、契約期間の満了時に、大家様が契約の更新を認めないことを指します。一方「強制退去」は、契約が終了・解除されたにもかかわらず入居者が居座り続けた場合に、裁判所の手続きを経て強制的に物件から退去させることを指します。つまり、更新拒否がそのまま強制退去に直結するわけではなく、間に複数の法的ステップが存在します。

普通借家契約の場合、借地借家法は借主を強く保護しており、大家様が一方的に更新を拒否したり、契約途中で解除したりすることは簡単には認められません。ここが、ペットトラブルに関する誤解が生まれやすいポイントです。

② 更新拒否には「正当事由」が必要

普通借家契約を更新拒否するには、借地借家法第28条に定められた「正当事由」が必要です。契約期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に更新拒絶の通知を行い、かつ正当事由が備わっていなければ、契約は自動的に更新される「法定更新」となります(出典:オーブ法律事務所「借家契約の更新拒絶における正当事由」)。

正当事由の有無は、①物件を使用する必要性 ②賃貸借の従前の経過 ③物件の利用状況 ④物件の現状 ⑤立ち退き料(財産上の給付)という5つの要素を総合的に考慮して判断されます(出典:エジソン法律事務所「立ち退きの正当事由を弁護士が徹底解説」)。ここで注目したいのは、③「物件の利用状況」の判断要素として、実務上「ペット不可の契約を無視している」ことが、大家側の主張材料として挙げられている点です(出典:同事務所解説記事)。つまり、契約違反としてのペット飼育は、更新拒否の正当事由を補強する一要素になり得るということです。

ただし、これはあくまで「一要素」であり、それだけで正当事由が認められるとは限りません。他の要素(大家様側の使用の必要性など)と総合的に比較考慮されるため、ペット飼育の事実だけをもって機械的に更新拒否が認められるわけではないという点は、正しく理解しておく必要があります。

契約更新や近隣トラブルにご不安がある方は、早めにご相談ください

③ 契約期間中の解除は「信頼関係破壊」が基準

更新時期を待たず、契約期間の途中で解除するケースもあります。この場合は「更新拒否」ではなく「契約解除」にあたり、判断基準も異なります。ペット不可物件での無断飼育など、契約違反があった場合でも、それだけで即座に解除が認められるわけではなく、当事者間の信頼関係が破壊されたと言えるほどの背信的行為が必要とされます(出典:秋山慎太郎総合法律事務所解説記事)。

たとえば、貸主からの中止要請を無視して飼育を継続した場合や、繰り返し騒音トラブルを起こしているにもかかわらず改善が見られない場合は、信頼関係の破壊が認定されやすくなります。逆に、一度の指摘で速やかに改善した場合などは、解除が認められにくい傾向にあります。

④ 明渡し訴訟の流れと期間

更新拒否や契約解除が認められる状況になったとしても、入居者が任意に退去しない場合、大家様は「明渡し訴訟」を提起することになります。まず内容証明郵便などによる「明け渡し請求」を行い、それでも応じない場合に訴訟へと進みます。スムーズに進んだ場合でも、内容証明の送付から判決までおおよそ3〜6ヶ月程度が目安とされています(出典:法律事務所解説記事「建物明渡請求・明け渡し訴訟とは?」)。

つまり、クレームが1回あったからといって、翌月には退去させられるという話ではありません。トラブルの指摘から実際の法的手続きの完了まで、相応の時間がかかることを踏まえておくことが大切です。ただし、この期間は決して「安心していい」という意味ではなく、その間もトラブルが継続すれば、解除・退去が認められる可能性はどんどん高まっていきます。

トラブルが深刻化する前に、住まいの見直しも選択肢のひとつです

⑤ 強制執行(断行)に至るまでの手続きと費用

明渡し訴訟で勝訴判決が出ても、それだけでは入居者は退去しません。判決確定後も居座り続けた場合、大家様は改めて「強制執行」を申し立てる必要があります。大家様が自分で鍵を交換したり荷物を運び出したりする「自力救済」は法律で禁じられているため、必ず裁判所の執行官を通じた手続きが必要です(出典:弁護士事務所解説記事「建物明け渡しの強制執行」)。

強制執行の申立て後、まず「明渡しの催告」が行われ、退去期限が告知されます。期限までに退去しない場合、「明渡しの断行」として強制的に荷物が搬出されます。申立てからおおむね2週間後に催告、そこからさらに1ヶ月弱で断行という流れが一般的です(出典:同解説記事)。

費用面では、予納金・鍵交換費用・残置物の撤去費用などがかかり、総額が数十万円から100万円を超えるケースもあるとされています(出典:同解説記事)。これらの費用は法律上、本来は入居者側の負担ですが、実務上はまず大家様が立て替えて支払い、その後入居者に請求する形になります。回収できない場合、実質的に大家様の負担となることも少なくありません。

⑥ トラブルを深刻化させないために

ここまで見てきたとおり、更新拒否や強制退去には、法律上のハードルと相応の時間・費用がかかります。だからといって、「そう簡単には退去させられないから大丈夫」と考えるのは危険です。管理会社や近隣住民からの指摘を軽視し、改善の努力をしないまま放置すればするほど、「信頼関係の破壊」や「正当事由」が認定されやすくなっていきます。

指摘を受けたら、まずは真摯に受け止め、できる対策から着手することが何より重要です。当社では、鳴き声・臭いなどのトラブル対策のご相談から、必要に応じた住み替えのご提案まで対応しています。一人で抱え込まず、早めにご相談ください。

「クレーム」から「強制退去」までのタイムライン

ここまでの内容を、時系列で整理すると以下のようになります。実際にはケースによって前後しますが、全体の流れをつかむ参考にしてください。

STEP1:近隣からの苦情・管理会社への相談(この段階での改善対応が最も重要)

STEP2:管理会社・大家様からの注意・改善要請

STEP3:改善が見られない場合、内容証明郵便による契約解除・明け渡し請求

STEP4:応じない場合、明渡し訴訟の提起(判決まで約3〜6ヶ月)

STEP5:判決確定後も退去しない場合、強制執行の申立て

STEP6:明渡しの催告(約2週間後)→明渡しの断行(さらに約1ヶ月後)

STEP1からSTEP6まで進むケースは、実際には多くありません。ほとんどの場合、STEP2〜STEP3の段階で入居者が改善対応や自主的な退去に応じるため、最後まで法的手続きが進むのは一部の深刻なケースに限られます。だからこそ、初期段階での誠実な対応が、後々の負担を大きく左右します。

知っておきたい用語集

法定更新:更新拒絶の通知や異議がないまま契約期間が満了した場合、従前と同一条件で契約が自動的に更新されること。

正当事由:大家様が更新拒絶・解約申入れを行う際に必要とされる、法律上合理的と認められる理由。

債務名義:強制執行を申し立てる際に必要となる、権利関係を公的に証明する文書(確定判決など)。

明渡しの催告:強制執行の申立て後、執行官が現地で退去期限を告知する手続き。

明渡しの断行:退去期限までに退去しない場合に、強制的に荷物を搬出し物件を引き渡させる最終手続き。

よくある質問(Q&A)

Q. 鳴き声のクレームが1回あっただけで、更新拒否されますか?

A. 1回の指摘だけで正当事由が認められる可能性は低いと考えられます。ただし、指摘を無視して改善しない状態が続くと、リスクは高まっていきます。早めの対応が重要です。

Q. 大家様は自分で鍵を交換して追い出すことはできますか?

A. できません。自力救済は法律で禁止されており、必ず裁判所を通じた法的手続きが必要です。もし大家様が違法に鍵を交換するなどした場合、逆に損害賠償請求の対象になる可能性があります。

まとめ|正しい知識で、過度な不安も油断も避ける

更新拒否には正当事由が、契約途中の解除には信頼関係の破壊が、それぞれ必要とされます。さらに強制退去に至るまでには、明渡し訴訟から強制執行まで、数ヶ月単位の時間と数十万円規模の費用がかかる法的プロセスがあります。だからこそ「簡単には退去させられない」という事実に安心しすぎず、指摘を受けたら早めに誠実に対応することが、結果的に一番の解決策になります。当社では、ペット可物件でのトラブルに関するご相談も承っています。まずはお気軽にご相談ください。

契約や近隣トラブルのご不安、早めにご相談ください。

更新・退去に関するご心配も、まずはペッターズ不動産にご相談ください。

業界歴20年以上のスタッフが、状況に応じた選択肢をご提案します。

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