
シニア期・介護が必要なペットとの住まい選び。今の部屋、この先も大丈夫ですか?
PETTERS REAL ESTATE COLUMN
シニア期・介護が必要なペットとの住まい選び。
今の部屋、この先も大丈夫ですか?
2026年7月3日更新
元気に走り回っていたペットも、7〜8歳を過ぎた頃から少しずつ体の変化が現れ始めます。獣医療の進歩により、犬猫の寿命は年々延びていますが、それは裏を返せば「シニア期・介護期」がより長くなるということでもあります。今日は、シニア期を迎えたペットや、介護が必要になったペットと暮らすうえで、住まいにどんな配慮が必要になるのかをお伝えします。
私自身も、長年飼育していたコーギーが晩年に変性性脊髄症という神経の病気を患い、介護を経験しました。今のお部屋で本当に最後まで安心して暮らせるか、一緒に考えていきましょう。
この記事でお伝えすること
① ペットの「シニア期」はいつから始まるのか
② シニア期に増える身体の変化
③ 住まいに求められる配慮とは
④ 賃貸物件で見落とされがちな盲点
⑤ 住み替えを考えるタイミング
⑥ 住まい探しチェックリスト
① ペットの「シニア期」はいつから始まるのか
犬・猫は一般的に7〜8歳頃からシニア期に入るとされています。市販されているシニア用フードの多くも、7〜8歳以上を対象としています(出典:ペット関連メディア解説記事)。一方で、飼い主へのアンケート調査では、半数以上が「高齢期は10歳から」と誤って認識しているという結果もあり、シニア期への備えが実際の身体の変化より遅れがちになる傾向がうかがえます(出典:マーケティングリサーチ会社シタシオンジャパン調査)。
獣医療の進歩により、ペットの寿命は年々延びています。日本経済新聞の報道によれば、2025年の犬の平均寿命は14.82歳、猫は16.00歳で、2010年と比べて犬は0.95歳、猫は1.64歳延びたとされています(出典:日本経済新聞「ペットフード・用品業界」市場動向記事、ペットフード協会調査を基に構成)。寿命が延びるということは、シニア期・介護期の時間もそれだけ長くなるということです。
② シニア期に増える身体の変化
シニア期に入ると、視力や聴力の衰え、関節の痛みなど、さまざまな身体の変化が現れます。中でも関節のトラブルは非常に多く、12歳以上の猫の70%が変形性関節症・脊椎症になるとされています(出典:ペット関連メディア解説記事)。関節症になると、膝や腰が痛み、トイレの縁をまたげずに近くで粗相をしてしまったり、高い場所の食事皿に届かなくなったりすることがあります。
犬の場合も、加齢に伴う関節炎や股関節症、大型犬に多い変性性脊髄症など、歩行に影響を及ぼす病気のリスクが高まります。世界のペット用移動補助具市場に関する調査でも、加齢による関節炎や股関節症などの慢性疾患の増加が、車椅子や歩行補助ハーネスなどモビリティ支援用品の需要を大きく押し上げていると分析されています(出典:ペット用移動補助具市場調査レポート)。
「うちの子も歳をとってきた」という段階からのご相談も歓迎です
③ 住まいに求められる配慮とは
滑りにくい床
関節に痛みがあるペットにとって、フローリングの滑りやすさは大きな負担になります。滑る床では踏ん張ろうとして余計に関節へ負荷がかかり、転倒のリスクも高まります。ペット対応フローリングやラグ・マットの活用は、シニア期こそ重要性が増す対策です。
段差の少なさ
玄関の上がり框や部屋の間の段差は、若い頃は気にならなくても、シニア期には大きな障壁になります。スロープやステップを置けるスペースがあるか、内見時にあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
静かで落ち着ける環境
聴力・視力が衰えてくると、物音や人の動きに驚きやすくなることがあります。共用部からの音が響きにくい部屋の配置や、落ち着いて過ごせるスペースの確保も、シニア期の暮らしやすさに直結します。
動物病院へのアクセス
シニア期は通院の頻度が上がりやすい時期です。定期的な健康診断はシニア期には年2回が推奨されることもあり(出典:ペット関連メディア解説記事)、自宅から動物病院までの距離や移動のしやすさも、住まい選びの重要な要素になります。
④ 賃貸物件で見落とされがちな盲点
賃貸物件、特にマンション・アパートでは、以下のような点が見落とされがちです。
エレベーターの有無・待機時間
足腰が弱ったペットを抱えて階段を昇り降りするのは、飼い主にとっても負担が大きくなります。エレベーターの有無だけでなく、混雑する時間帯の待機時間まで確認しておくと安心です。
共用部の床材
部屋の中だけでなく、エントランスや共用廊下がタイル張りなど滑りやすい素材になっている物件も多くあります。お散歩や通院の際に通る場所として、事前に確認しておきたいポイントです。
介護用品を置くスペース
車椅子や床ずれ防止マット、おむつなどの介護用品は、思いのほかスペースを取ります。手狭な部屋では介護がしにくくなることもあるため、収納や生活スペースの余裕も含めて検討することをおすすめします。
介護が必要なペットとの住み替え、建設会社母体だからこそのリフォーム提案もできます
⑤ 住み替えを考えるタイミング
「介護が必要になってから住み替えを考える」のではなく、シニア期に入った7〜8歳頃から、将来を見据えて住まいを見直しておくことをおすすめします。ペットの引っ越しには、新しい環境への適応というストレスも伴うため、体力があるうちに移っておく方が、ペットへの負担は少なくなります。
シニアペット向けの用品市場は世界的に年8〜9%のペースで拡大しており、2030年には24億ドル規模になると予測されています(出典:ペット用移動補助具市場調査レポート)。これは、多くの飼い主がシニア期・介護期の暮らしに真剣に向き合い始めている証でもあります。住まいという土台から、その備えを始めてみませんか。
住まい探しチェックリスト
☐ 室内の床は滑りにくい素材か(ラグ・マットで対応できるか)
☐ 玄関・部屋間の段差は大きくないか
☐ エレベーターの有無・待機時間は問題ないか
☐ 共用部(エントランス・廊下)の床材は滑りにくいか
☐ 動物病院までの距離・移動手段は現実的か
☐ 介護用品を置くスペースの余裕があるか
☐ 静かで落ち着ける部屋の配置になっているか
犬種・体格によって異なる注意点
シニア期に注意したい身体の変化は、犬種や体格によっても傾向が異なります。
大型犬
体重が大きい分、関節への負担も大きく、股関節症や変性性脊髄症など歩行に影響する病気のリスクが比較的高いとされています。体を支えるための介護用ハーネスや、後ろ足を支える車椅子タイプの補助具が必要になるケースもあります。
小型犬
小型犬は大型犬と比べて平均寿命が長い傾向があり、シニア期・介護期がより長期化しやすい側面があります。膝蓋骨脱臼など、若い頃からの持病がシニア期に悪化するケースもあるため、早期からの体重管理や関節サポートが重要です。
猫
室内飼育の猫は平均寿命がさらに長く、16歳を超えて生きる個体も珍しくありません。高いところに登れなくなる、トイレの縁を越えられなくなるといった変化が徐々に進むため、キャットタワーの高さやトイレの入口の段差にも配慮が必要になります。
介護グッズと住まいの相性も確認しておきたいポイント
近年、ペットの介護用品は動物病院専売品から、量販店やECサイトで手軽に購入できるアイテムへと広がっています。失禁対策のおむつやライナー、歩行補助ハーネス、車椅子、床ずれ防止マットなど、選択肢は年々増えています(出典:ペット関連ビジネス動向解説記事)。ただし、こうした介護用品は住まいとの相性も重要です。
たとえば、ペットステップやスロープは、底面に滑り止めがついているものを選ぶことで、床を傷つけずに使用できます(出典:ペット用品比較メディア解説記事)。フローリングが硬く滑りやすい部屋では、ステップ自体が動いてしまい、かえって危険になることもあるため、床材との組み合わせを意識しておくことが大切です。
また、老犬・老猫ホームのように、飼い主の入院や高齢化で飼育継続が困難になった場合の受け入れ先も、全国で100施設を超えて広がっています(出典:ペット関連ビジネス動向解説記事)。もしものときの選択肢として、こうした施設の存在も知っておくと安心材料になります。
実際にありがちなご相談例(一般的な例を基に構成)
ここでは、シニア・介護ペットとの住み替えでよくあるご相談を2つご紹介します。特定の個人・物件を指すものではなく、複数のケースを踏まえて一般化した内容です。
ケース1:大型犬の後ろ足が弱り、階段のない物件へ住み替え
シニア期に入った大型犬の後ろ足の踏ん張りが弱くなり、それまで住んでいた階段のあるメゾネットタイプの部屋での生活が難しくなったケース。1階部分の物件、またはエレベーター付きで段差の少ない物件への住み替えを検討し、床材もペット対応フローリングへの張り替えを合わせて行うことで、日々の介助の負担が大きく軽減されたと報告されています。
ケース2:猫のシニア期に合わせてトイレ環境を見直し
高齢の猫が関節症の影響でトイレの縁を越えられなくなり、粗相が増えてしまったケース。入口の低いシニア用トイレへの切り替えと合わせて、部屋のレイアウトを見直し、トイレまでの移動距離を短くしたことで改善が見られました。住み替えを伴わなくても、住まいの中の小さな工夫で対応できる場合もあります。
よくある質問(Q&A)
Q. シニアペットがいることを理由に、入居を断られることはありますか?
A. ペットの年齢を理由に断られることは基本的にありませんが、粗相などのリスクへの懸念からオーナー様が慎重になるケースはあります。当社では、状況を正直にお伝えしたうえで、理解のあるオーナー様の物件をご提案しています。
Q. 介護用品を置くために、部屋の広さはどれくらい必要ですか?
A. 使用する用品の種類やペットのサイズによって異なりますが、車椅子やケージ、介護スペースを想定すると、一般的な想定より一回り広めの部屋を検討されるとよいでしょう。具体的な状況に応じてご相談ください。
まとめ|「その時」が来る前に、住まいを見直しておく
ペットの寿命が延びている今、シニア期・介護期は決して「特別な期間」ではなく、多くの飼い主が向き合うことになる大切な時間です。滑りにくい床、段差の少なさ、通院のしやすさなど、今の住まいを見直すことは、ペットにとっても飼い主にとっても大きな安心につながります。当社では、こうした視点も踏まえた物件のご提案、必要に応じたリフォームのご相談まで対応しています。まずはお気軽にご相談ください。
大切な家族と、最後まで安心して暮らせる住まいを。
シニア期・介護期に配慮した住まい探しも、まずはペッターズ不動産にご相談ください。
代表自身の介護経験も踏まえ、当事者の視点でご提案します。
