「金利が上がっているから、今は家を買わない方がいい」——そう考えている方は少なくありません。しかし、この考え方には大きな見落としがあります。金利上昇は住宅ローンの負担を増やすだけでなく、実は賃貸の家賃も上昇させる要因になるのです。
私たちは普段、ペット可賃貸物件(ペッターズ不動産)のご紹介を中心にお伝えしていますが、本業は柴崎建設株式会社として不動産の売買にも20年以上携わっています。今回は「金利上昇局面で、賃貸と購入をどう考えるべきか」について、特に大型犬を飼っている方に向けてお伝えしたい内容です。
① 金利が上がると、なぜ家賃も上がるのか
「賃貸なら金利上昇の影響を受けない」と思われがちですが、これは正確ではありません。仕組みを理解しておきましょう。
金利上昇が家賃に転嫁される仕組み
段階的に上昇
オーナーの返済額増加
家賃に上乗せ
さらに、住宅ローン金利の上昇で「持ち家をあきらめ賃貸を選ぶ人」が増えると、賃貸需要が増えて家賃はさらに上昇しやすくなります。
賃貸物件も多くはローンで購入されているため、金利が上がりオーナーの返済が増えれば、いずれ家賃に転嫁されます。つまり、金利の上昇は持ち家のローン返済が増えるだけでなく、家賃の上昇要因にもなるのです。加えて住宅ローン金利が上がることにより「賃貸派」が増えれば、さらに物件は不足し家賃は上昇に向かいます。
出典:住まいの情報館「家賃の上昇が止まらない!賃貸か持ち家か?迷ったときの比較方法」(2025年2月15日)日本銀行は2024年3月にマイナス金利を解除して以降、段階的に金利の正常化を進めています。2025年12月の金融政策決定会合では政策金利を0.50%から0.75%へ引き上げ、2026年6月には追加利上げが決定されました。変動金利は2026年春には各金融機関で基準金利が引き上げられ、2026年4月時点で多くの金融機関が1%を超えています。
出典:イオン銀行「タマルWeb」(2026年5月15日)/ 住まいサーフィン編集部コラム「今後の住宅ローン金利はどうなる?」(2026年6月最新)② 実際にここ数ヶ月、家賃は上がっている
これは理論上の話だけではありません。実際の市場データでも、この傾向は明確に表れています。
特に都市部では、2025〜2026年にかけても家賃上昇が続く見込みとされています。総務省の物価指数を見る限り、賃料は緩やかな上昇が継続する見込みです。賃貸は初期費用・更新料が定期的に発生するため、長期的には費用が積み上がりやすい特徴があります。
出典:ホームズ「2026年、賃貸 vs 持ち家どっちが得?」(2026年3月3日)ここ数年の物価上昇は、現在の家賃水準に十分反映されていない可能性が高く、しばらく上昇傾向は続くと考えられます。また、今後物価が下がることがあったとしても、家賃に反映されるまでには数年の期間を要することになります。つまり、家賃の上昇はこれから本格化していく可能性が高いということです。
出典:住まいの情報館(2025年2月15日)政策金利(引上げ後)
変動金利(多くの金融機関)
フラット35(全期間固定)
「様子を見よう」が一番のリスクになることも:「不動産価格が上がっているから、賃貸に住んで様子を見よう」という考え方には注意が必要です。家賃は不動産価格と連動しやすく、購入を様子見する世帯が増えるほど、大家は家賃を強気に設定しやすくなります。様子を見ている間に、家賃も購入したかった物件の価格も、両方上がってしまうリスクがあります。
③ 購入には「住宅ローン減税」という強い味方がある
金利が上がっている今だからこそ知っておきたいのが、購入する側にだけ用意されている税制優遇制度です。
令和8年度税制改正により、住宅ローン減税の適用期限が5年間延長(入居日が令和8年1月1日から令和12年12月31日まで)されました。省エネ性能の高い既存(中古)住宅についても、借入限度額の引き上げ・控除期間の13年への拡充など、支援が大幅に拡充されています。また床面積要件も40㎡以上に緩和され、より多くの方が利用しやすくなりました。
出典:国土交通省「住宅ローン減税」ページ(2026年6月更新)住宅ローン減税は、年末時点の住宅ローン残高に一定の控除率(0.7%)を掛けた金額が、所得税(控除しきれない場合は住民税の一部、最大9.75万円)から差し引かれる仕組みです。省エネ性能等の高い住宅であれば控除期間13年・累計最大控除額も大きく拡充されています。子育て世帯・若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが40歳未満)はさらに借入限度額が上乗せされます。
出典:いえーる住宅研究所(2025年12月26日)/ 山田&パートナーズ「令和8年度税制改正大綱」解説「借りると儲かる」と言われる理由:住宅ローン減税と、住宅ローンに加入する際の団体信用生命保険(団信)という2つの制度のおかげで、住宅ローンは「金利を払うだけ」のものではなく、実質的な手取りを増やす効果があると言われています。団信は契約者が亡くなった際にローンが完済される生命保険の一種で、保険料は金利に含まれているため実質無料で加入できる生命保険と捉えることもできます。
④ 家賃は「掛け捨て」、ローンは「資産形成」という違い
賃貸と購入の最も本質的な違いは、支払ったお金が「どこに残るか」です。
- 支払った家賃は手元に何も残らない(掛け捨て)
- 金利上昇・物価上昇の影響を間接的に受ける(更新時の家賃上昇)
- 住宅ローン減税などの税制優遇は利用できない
- 初期費用・更新料が定期的に発生する
- 高齢期は入居審査が厳しくなる傾向がある
- 返済の大部分は「積み立て」として資産(住宅)に残る
- 住宅ローン減税により実質的な手取りが増える
- 団体信用生命保険で実質無料の生命保険効果がある
- 完済後は住居費の負担が大きく減る
- いざという時に売却・賃貸に出すなど資産として活用できる
家賃は全額「掛け捨て」であり、ローンは大部分が「積み立て」です。これが家賃とローン返済のもっとも大きな違いです。例えば月々の家賃とローン返済額が同程度だったとしても、賃貸は20年間の支出がそのままコストになる一方、購入の場合は同じ20年間でも残債を差し引いた資産価値が手元に残ります。
出典:住まいの情報館「家賃の上昇が止まらない!賃貸か持ち家か?」(2025年2月15日)「いざという時の資産」という側面:住宅は単なる住まいであるだけでなく、収入が大きく変化した場合や急にお金が必要になった場合に、売却・担保として活用できる資産にもなります。家賃を払い続けるだけでは、この「資産としての備え」を持つことができません。
⑤ 大型犬を飼っているなら、賃貸はほぼ絶望的に難しい
ここからは、私たちペッターズ不動産の現場でも強く実感していることです。大型犬を飼っている方にとって、賃貸という選択肢は年々厳しくなっています。
「ペット可」と書かれていても、大型犬は断られる現実
物件サイトに「ペット可」と表示されていても、その中身は物件ごとにバラバラです。「小型犬1匹まで」も「ペット可」ですし、「猫のみ」も「ペット可」と表示されることがあります。「ペット可」は入口の言葉であって、「あなたの犬が飼える」という約束ではないのです。
実際の物件には、こうした条件が「ペット可」の裏に隠れていることが多くあります。「小型犬のみ(体重◯kgまで)」「1匹まで(多頭飼い不可)」「特定の犬種は不可」「管理組合や貸主の個別承認が必要」——これらは物件サイトの表示だけではわからないことも多く、問い合わせて初めて判明します。だからこそ、サイトの「ペット可」だけを頼りに動くと、空振りが続いてしまうのです。
出典:Big Buddy Life「『ペット可』なのに、大型犬は断られる。それはどうしてなのか。」(2026年6月24日)
大事なのは、これらは「大型犬がダメな犬だから」という話ではないということです。あくまで貸主がリスクを避けたいという事情であって、愛犬の人柄(犬柄)を否定しているわけではありません。過去にペットがらみのトラブルがあって、それ以来ペットの条件を厳しくしたというケースも少なくありません。
出典:Big Buddy Life「『ペット可』なのに、大型犬は断られる。それはどうしてなのか。」(2026年6月24日)| 項目 | 賃貸(大型犬) | 購入 |
|---|---|---|
| 物件の選択肢 | 非常に限られる・条件交渉が必要 | 自分の所有物なので制約なし |
| 多頭飼い | ほぼ不可の物件が多い | 自分の判断で可能 |
| リフォーム・防音対策 | 大家の許可が必要 | 自由に対応できる |
| 更新時の条件変更リスク | 更新時にペット可否が変わる可能性 | 将来にわたり安定 |
| 飼育数・犬種の制限 | 物件ごとに細かい制限がある | 制限を受けない |
大型犬と長く暮らすという選択をするなら:賃貸で大型犬可の物件を探し続けるよりも、購入によって「自分の所有物」とすることで、ペットの飼育に関する制約から解放されるという考え方もあります。今のように家賃が上昇傾向にある局面では、購入を検討するタイミングとして見直す価値があります。
⑥ それでも賃貸が向いている人もいる
ここまで購入のメリットを中心にお伝えしましたが、誤解のないように、賃貸が向いているケースも正直にお伝えします。
- 転勤や転職でライフスタイルが変化しやすい方(賃貸は身軽に住み替えられる)
- 固定資産税・修繕費などの突発的な出費を避けたい方
- 飼育予定のペットが小型犬・猫など、ペット可賃貸の選択肢が比較的見つかりやすい方
- 頭金の準備が十分でなく、無理のない計画が立てられない方
賃貸の最大のメリットは、金利変動リスクからの解放とライフスタイルの柔軟性です。転勤・転職・子どもの成長など、ライフステージの変化に合わせて気軽に引っ越せる身軽さは、変化の激しい現代において大きな強みとなります。賃貸も持ち家も、どちらが絶対に得というわけではありません。大切なのは、ライフスタイルと家計に合った選択をすることです。
出典:大和ハウス「金利上昇時代の賢い選択」/ 財経新聞「持ち家vs賃貸、2026年の正解はどこにある?」(2026年2月19日)大切なのは「比較」を一度してみること:「賃貸か購入か」の答えは人によって異なりますが、今の家賃と、実際に購入した場合の返済額・住宅ローン減税を加味した実質負担を比較してみることには大きな価値があります。比較して初めて、自分にとっての最適な選択が見えてきます。
⑦ よくある質問(Q&A)
⑧ まとめ
この記事のポイント
- 金利上昇は住宅ローンの負担増だけでなく、大家のローン返済増加を通じて家賃上昇の要因にもなる(住まいの情報館 2025年2月)
- 都市部では2025〜2026年にかけても家賃上昇が続く見込み(ホームズ 2026年3月)
- 2026年4月時点で変動金利は多くの金融機関で1%超、フラット35は2.4%台で推移(住まいサーフィン・イオン銀行)
- 2026年度税制改正で住宅ローン減税が5年延長(2030年12月31日入居まで)。中古住宅への支援も拡充(国土交通省)
- 家賃は「掛け捨て」、住宅ローンの返済は「積み立て」として資産に残るという本質的な違いがある
- 「ペット可」でも大型犬は断られるケースが多く、特に大型犬を飼う方には賃貸の選択肢が限られる(Big Buddy Life 2026年6月)
- 購入であれば犬種・頭数・防音リフォームなどの制約から解放される
- 賃貸が向いている方もいるため、自分の状況に合わせて一度比較検討することが大切
「金利が上がっているから今は買わない」という判断は、家賃の上昇という別のリスクを見落としてしまう可能性があります。特に大型犬を飼っている、またはこれから飼いたいと考えている方にとっては、賃貸の選択肢自体が年々厳しくなっている現実もあります。
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