
鳴き声・臭いの近隣トラブル、ペット可物件で一番多い問題とその防ぎ方
PETTERS REAL ESTATE COLUMN
鳴き声・臭いの近隣トラブル、
ペット可物件で一番多い問題とその防ぎ方
2026年7月3日更新
ペット可物件でのトラブルというと、退去費用のイメージが強いかもしれませんが、実は入居中に最も多く発生しているのは「鳴き声」と「臭い」に関する近隣トラブルです。大手不動産ポータルの調査でも、不動産会社が受けるペット関連の相談で最も多いのが鳴き声に関する苦情だと報告されています。今日は、このトラブルがなぜこれほど多いのか、法律上どういう扱いになるのか、そして入居前後にできる対策まで、データと法律の両面から詳しく解説します。
「うちの子は大丈夫」と思っていても、集合住宅では音や臭いの感じ方に個人差があります。だからこそ、正しい知識を持って備えておくことが、飼い主さんご自身とペットを守ることにもつながります。
この記事でお伝えすること
① データで見る鳴き声・臭いトラブルの実態
② 鳴き声トラブルに関する法律上のルール
③ 実際にあった裁判例
④ 臭いトラブルの主な原因
⑤ 入居前にできる対策
⑥ 苦情を受けてしまったときの対応
⑦ 逆に自分が悩まされている場合の相談先
⑧ まとめ
① データで見る鳴き声・臭いトラブルの実態
株式会社LIFULLが運営する「LIFULL HOME'S」が加盟不動産会社を対象に行った調査によると、入居者からのペットにまつわる相談内容として最も多かったのは「近隣の部屋のペットの鳴き声がうるさい」で64.9%にのぼりました。次いで「飼育禁止のペットを飼っている」(43.2%)、「共用スペースでのマナー違反」(37.8%)と続いています(出典:株式会社LIFULL「ペットとの住まい探しの実態調査」2025年)。
また、実際にペットと暮らし始めた後、近隣から注意や要請を受けた経験がある飼い主は66.5%と、実に3人に2人にのぼるという結果も出ています(出典:同調査)。ペットを飼っていない世帯を含めた集合住宅全体で見ても、国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」では、居住者間トラブルの60.5%が「行為・マナーをめぐるもの」であり、そのうち最も多いのが生活音(43.6%)でした(出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」)。
自治体への相談件数で見ても、この問題の根深さがうかがえます。愛知県の「令和2年愛知県衛生年報」によると、同年度に県が処理した犬猫の苦情件数は1万5,835件にのぼりました(出典:愛知県「令和2年愛知県衛生年報」)。鳴き声・臭いは、ペット可物件における最大級のトラブル要因といって間違いありません。
② 鳴き声トラブルに関する法律上のルール
ペットの鳴き声問題には、主に2つの法律が関係します。
動物愛護管理法における努力義務
動物の愛護及び管理に関する法律第7条では、動物の所有者・占有者に対し、動物が人に迷惑を及ぼすことのないよう努めなければならないと定められています(出典:動物の愛護及び管理に関する法律第7条第1項)。また同法第25条では、都道府県が周辺の生活環境が損なわれていると認めた場合、飼い主に対して指導・助言・勧告・措置命令を行うことができるとされています(出典:同法第25条)。ただし、いずれも罰則を伴わない努力義務・行政指導にとどまるため、強制力は限定的です。
民法上の損害賠償責任
より実効性がある根拠となるのが、民法第718条の「動物の占有者等の責任」です。動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負うとされており、「相当の注意をもって管理していた」と認められない限り、この責任は免れません(出典:民法第718条第1項)。鳴き声が騒音化しているケースの多くは、適切な場所・方法で飼育されていないことが原因であるため、この「相当の注意」が認められにくいとされています(出典:法律事務所解説記事)。つまり、鳴き声を放置し続けた結果、慰謝料請求に発展する可能性は現実的にあるということです。
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③ 実際にあった裁判例
鳴き声トラブルがどこまで法的責任に発展しうるのか、実際の裁判例を2つご紹介します。
横浜地裁 昭和61年2月18日判決
シェパードやマルチーズが異常な鳴き声で鳴き続け、周辺住民を神経衰弱状態に至らしめた事案です。裁判所は、飼い主が昼間ほとんど不在がちで、犬が運動する機会がほとんどなかったことなどを指摘し、飼い主の管理義務違反を認定。一人当たり30万円の慰謝料請求を認容しました(出典:法律事務所解説記事)。
京都地裁 平成3年1月24日判決(賃貸マンションでの事案)
これは特に賃貸住宅にお住まいの方に参考になる事例です。同じアパート内で、賃貸人が中庭で飼っていたシェパードの鳴き声と糞の悪臭を理由に、賃借人が慰謝料を請求した事案で、裁判所は受忍限度を超える違法な行為と認定しました。最終的に一人当たり10万円の支払いが命じられています(出典:法律事務所解説記事)。同一建物内で密着して生活する賃貸住宅ならではのケースであり、鳴き声と臭いが同時に問題視された点も特徴的です。
④ 臭いトラブルの主な原因
自治体の相談事例では、鳴き声と並んで「悪臭」に関する苦情も多く報告されています。秋田県のまとめによると、犬の悪臭・脱毛に関する苦情の多くは、散歩を行わずつないだまま飼育し、糞尿の処理もしていないことが原因とされています(出典:秋田県公式ホームページ)。埼玉県の相談窓口にも、「猫の避妊・去勢手術をしていないため発情時の鳴き声が大きい」「10頭以上の犬を飼育し排泄物の処理ができず臭いが周辺に広がっている」といった具体的な相談例が寄せられています(出典:埼玉県公式ホームページ)。
集合住宅では、トイレの処理が遅れることによる臭いの滞留、換毛期の抜け毛の飛散、爪とぎによる粉塵なども、隣接する部屋や共用部への臭い・汚れの原因になります。日々のケアの積み重ねが、そのままトラブル予防につながります。
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⑤ 入居前にできる対策
1. 防音性の高い建物構造を確認する
鉄筋コンクリート造(RC造)は木造・軽量鉄骨造と比べて遮音性が高い傾向があります。特に鳴き声の大きい犬種を飼育する場合は、内見時に壁や床の構造を確認しておくと安心です。
2. 部屋の配置を意識する
角部屋や最上階は、隣接する住戸が少ない分、音の影響を与える範囲を減らせます。ペットのケージやトイレの位置を、共用廊下や隣室と接する壁から離して配置できるかどうかも、内見時にシミュレーションしておくとよいでしょう。
3. しつけ教室と連携して無駄吠え対策をしておく
無駄吠えの多くは、留守番中の不安や、外の物音への警戒心から起こるとされています。専門家の解説によれば、外出・帰宅時に犬へ過剰に声をかけないことや、通りが見えすぎる場所に犬を置かないことが、無駄吠えの軽減につながるとされています(出典:行政書士事務所解説記事)。当社が提携するしつけ教室では、入居前・入居後を通じたトレーニングのご相談も承っています。
⑥ 苦情を受けてしまったときの対応
管理会社や近隣住民から鳴き声・臭いについて指摘を受けた場合、まずは真摯に受け止め、放置しないことが何より重要です。前述の裁判例のとおり、改善の努力をしないまま放置すると、慰謝料請求などより大きなトラブルに発展するリスクがあります。
具体的には、鳴く時間帯や状況を記録して原因を特定する、獣医師やしつけ教室に相談する、消臭・防音グッズを導入するなど、できる対策から着手しましょう。管理会社に対しても、対応状況を報告しておくことで、誠実な印象を持ってもらいやすくなります。
⑦ 逆に自分が悩まされている場合の相談先
反対に、近隣のペットの鳴き声や臭いに悩まされている場合は、まず管理会社・大家様に相談するのが基本です。それでも改善が見られない場合は、自治体の相談窓口も活用できます。埼玉県の場合、犬に関する相談は保健所、猫に関する相談は動物指導センターがそれぞれ窓口となっています(出典:埼玉県公式ホームページ「ペットに関する相談について」)。
行政指導にも強制力の限界があるため、深刻なケースでは弁護士へ相談し、民法第718条に基づく損害賠償請求を検討することも選択肢のひとつです。ただし、まずは感情的な対立を避け、話し合いによる解決を目指すことが望ましいとされています(出典:自治体公式ホームページ)。
犬種・猫でみる鳴き声・臭いの傾向の違い
トラブルの内容は、飼育している動物の種類によっても傾向が異なります。
小型犬・中型犬
来客や物音に反応した警戒吠えが多く、特に留守番中のインターホン・足音への反応が鳴き声トラブルの引き金になりやすいとされています。声量自体は大型犬より小さくても、高音・断続的な鳴き方が響きやすい傾向があります。
大型犬
吠え声自体が大きく低音のため、壁や床を通じて響きやすい傾向があります。運動不足によるストレスが原因で無駄吠えが増えるケースも多いと指摘されており、日々の散歩やドッグランでの運動機会の確保が対策として重要になります。
猫
犬と比べて鳴き声による苦情は少ない一方、去勢・避妊手術をしていない場合の発情期の鳴き声や、トイレの処理不足による臭いが問題になりやすい傾向があります。埼玉県の相談窓口にも、未去勢猫の発情時の鳴き声に関する具体的な相談が寄せられています(出典:埼玉県公式ホームページ)。早期の去勢・避妊手術は、鳴き声対策としても有効とされています。
今日からできる鳴き声・臭い対策チェックリスト
☐ 留守番中の対策(サークル・カーテンで外の物音・人影を遮断)をしている
☐ 出かける時・帰宅時に過剰に声をかけないようにしている
☐ 毎日決まった時間に十分な運動・散歩をさせている
☐ トイレはこまめに掃除し、消臭剤や脱臭機を活用している
☐ 換毛期はブラッシング・掃除の頻度を増やしている
☐ 未去勢・未避妊の場合、手術を検討している
☐ ケージ・トイレの設置場所を隣接する壁から離している
知っておきたい用語集
受忍限度:社会生活を送るうえで我慢すべき限度のこと。近隣トラブルの裁判では、この限度を超えたかどうかが違法性の判断基準になる。
動物占有者等の責任:民法第718条に定められた、動物が他人に加えた損害について占有者が負う損害賠償責任。
努力義務:法律上「努めなければならない」と定められているが、罰則を伴わない義務。動物愛護管理法第7条の飼い主の責務がこれにあたる。
行政指導:法令に基づき行政機関が行う指導・助言・勧告。強制力はないが、飼い主への心理的な影響は大きいとされる。
実際にありがちなケース(一般的な例を基に構成)
ここでは、相談窓口や不動産業界で報告されている内容を参考に、鳴き声・臭いトラブルでよくあるパターンを2つご紹介します。特定の個人・物件を指すものではなく、複数のケースを踏まえて一般化した内容です。
ケース1:テレワーク中の在宅時間増加で発覚した鳴き声
転居前は日中不在が多く問題にならなかった鳴き声が、テレワーク中心の生活に切り替わったことで、隣室の在宅時間とも重なり苦情に発展したケース。飼い主自身は在宅していても、仕事中は犬の相手ができず、来客時のインターホン音に反応して吠える頻度が増えていたことが原因でした。管理会社からの指摘を受けてすぐにしつけ教室に相談し、防音カーテンの設置と合わせて改善に至った例が報告されています。
ケース2:多頭飼いによる臭いの蓄積
猫を2匹から3匹に増やしたタイミングで、トイレの数を増やさなかったために臭いが強くなり、共用廊下にまで臭いが漏れて管理会社から注意を受けたケース。頭数が増えるほど、トイレの数や換気の頻度も比例して見直す必要があることを示す例といえます。改善策として、トイレの数を頭数分+1個に増やし、脱臭機を導入したことで解消したとされています。
よくある質問(Q&A)
Q. 鳴き声の苦情を受けたら、退去を求められることはありますか?
A. 契約内容や改善への対応状況によりますが、指摘を放置し続けた場合、契約違反として更新拒否や契約解除に至る可能性はゼロではありません。早めの対応が重要です。
Q. 騒音計で測定した数値があれば、確実に慰謝料請求できますか?
A. 客観的な証拠として有力ですが、慰謝料請求が認められるかどうかは、飼育状況や管理義務違反の有無など総合的な事情で判断されます。深刻な場合は専門家にご相談されることをおすすめします。
まとめ|「うちの子は大丈夫」ではなく、備えることが大切
鳴き声・臭いのトラブルは、ペット可物件における最も多い近隣トラブルであり、放置すれば法的責任に発展する可能性もあります。一方で、物件選びの工夫やしつけによる対策で、多くのトラブルは未然に防ぐことができます。当社では、物件のご紹介だけでなく、しつけ教室との提携を通じたトラブル予防のご提案も行っています。まずはお気軽にご相談ください。
鳴き声・臭いの不安、物件選びの段階から相談できます。
防音性の高い物件選びから、しつけ教室のご紹介まで、まずはペッターズ不動産にご連絡ください。
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