ペット可物件を探すとき、多くの方が考えるのは「今、元気なペットと快適に暮らせる部屋」です。もちろんそれは大切なことですが、もうひとつ考えておいてほしいことがあります。それは「将来、もし病気になったとき、この場所で介護や通院ができるか」という視点です。
これは私自身の経験から、強くお伝えしたいことです。今日は少し私的な話になりますが、病気になりやすい犬種を飼っている方、これから飼おうとしている方にとって、物件選びの新しい視点になればと思います。
① 私自身の経験——コーギーの変性性脊髄症(DM)
うちのコーギーが、DMという病気にかかりました
以前、私はコーギーを飼っていました。とても元気で、よく走り回る子でした。しかしシニア期に入った頃から、後ろ足の動きに少しずつ違和感が出るようになり、診断されたのが「変性性脊髄症(DM)」という病気でした。
DMは少しずつ下半身の麻痺が進んでいく病気です。うちの子も、最初は後ろ足を擦るように歩く程度でしたが、徐々に立てなくなり、最後の2年間はほぼ寝たきりの状態になりました。
この2年間の介護は、本当に大変なものでした。そして介護をする中で痛感したのが、「もっと早く、住まいの環境を整えておくべきだった」ということです。
この経験があったからこそ、お客様には「今だけでなく、将来も見据えた物件選び」をお伝えしたいと思うようになりました。特に、病気になりやすいとされる犬種を飼っている方には、ぜひ知っておいていただきたい内容です。
② DMとはどんな病気か
変性性脊髄症は、痛みを伴わずゆっくりと進行する脊髄の病気です。10歳を過ぎる頃に後ろ足の麻痺から始まり、やがて前足にも広がっていきます。進行はゆるやかで、生存期間は3〜4年と比較的長いため、ご自宅でのケアが非常に重要になる病気です。好発犬種としてはジャーマン・シェパード、ボクサー、バーニーズ・マウンテン・ドッグなどが知られていますが、日本では飼育頭数の多いウェルシュ・コーギーでの報告が非常に多くなっています。
出典:ペトコト(PETOKOTO)「犬の変性性脊髄症(DM)|症状や原因、治療法を獣医師が解説」/ 岐阜大学動物病院 神経科「ウェルシュ・コーギーの変性性脊髄症」後ろ足を擦って歩くようになる
足先の感覚が鈍くなり、足の甲を擦るように歩く。爪が削れることもある
腰のふらつき・後ろ足の交差
お尻を振って歩く、ふらつきがひどくなり後ろ足が交差してしまう
立てなくなり、前足も弱ってくる
立ち上がりに時間がかかるようになり、やがて寝たきりの状態になる
DMは原因も治療法も完全には確立されていません。2009年の研究でSOD1遺伝子の変異が関与している可能性が指摘されていますが、発症を完全に防ぐ方法は今のところありません。「ゆるやかに進行し、自宅でのケアが長期間必要になる」という特徴こそが、住まい選びの重要性につながっています。
③ 介護を経験して気づいた「住まいの課題」
2年間の介護生活の中で、私が実際に困ったことが2つありました。
普段お世話になっていた動物病院では対応できる範囲が限られており、より専門的な対応が必要になったとき、近場で適切に診てもらえる病院を探すのに苦労しました。シニア犬・寝たきりの犬は通常の診察より時間も手間もかかるため、対応できる病院・できない病院の差を実感しました。
寝たきりになった犬を移動させるのは、見た目以上に重労働です。実際に介護経験者の声として「大型犬なので、立たせたり向きを変えるのに力がいる。病院に運ぶのも大変」という体験談もあります。エレベーターのない物件、駐車場から玄関までの距離、車への乗せ降ろしのしやすさなど、健康なときには気にしなかった部分が、すべて大きな負担として立ちはだかりました。
出典:いぬのきもちWEB MAGAZINE「【体験者に聞いてみた】老犬の介護の現実、大変だったことは?」
毎日休みなく続く介護により、ご家族の多くが介護疲れの問題を抱えることになります。介護疲れは、介護離職やうつなどを引き起こすこともあり、人間の介護事情と同様に大きな課題です。何から始めたらよいのかわからず、相談先もないことが、介護するご家族にとって大きな負担になります。
出典:日本動物医療センター「犬とストレス⑤~長年連れ添ってきたシニア犬と、ゆっくり過ごす穏やかな時間~」当時の私が知っておきたかったこと:「もし病気になったら」を想定して、住まいを選ぶ段階からシニア犬・要介護犬の受け入れに対応している動物病院の有無を確認しておくこと。そして、移動のしやすさ(エレベーター・駐車場・段差の少なさ)を意識した物件を選んでおくこと。これができていれば、介護の負担はもっと軽くできていたはずです。
④ 病気になりやすいとされる犬種の例
DMはコーギーに多く見られる病気ですが、犬種によって注意すべき病気はさまざまです。これから物件を探す際の参考に、いくつかの例をご紹介します。
ウェルシュ・コーギー(ペンブローク)
変性性脊髄症(DM)の報告が多い犬種です。シニア期に後ろ足の麻痺から始まり、ゆるやかに進行します。また胴長短足という体型から、椎間板ヘルニアのリスクも比較的高いとされています。
ダックスフンド
胴が長く脊椎への負担が大きいため、椎間板ヘルニアを発症しやすい犬種として知られています。発症すると急に後ろ足が動かなくなることもあり、緊急対応が必要になる場合があります。
フレンチ・ブルドッグ/パグなど短頭種
呼吸器系の構造上、暑さや興奮で呼吸困難を起こしやすい犬種です。室内の温度管理や、緊急時にすぐ動物病院へ連れていける環境が特に重要になります。
大型犬全般(ゴールデン・レトリーバーなど)
シニア期になると関節炎や股関節形成不全などにより足腰が弱りやすく、寝たきりになった場合の身体的な負担(持ち上げ・移動)が非常に大きくなります。エレベーターの有無が特に重要です。
どの犬種にも当てはまること:「うちの子は大丈夫」と思っていても、シニア期に入れば誰しも介護が必要になる可能性があります。犬の平均寿命は年々延びており、長く一緒に過ごせる時間が増えた分、介護を見据えた住環境の重要性も増しています。
⑤ 物件選びで見ておいてほしい5つのポイント
私の経験を踏まえて、病気になりやすい犬種を飼っている方・これから飼おうとしている方に、物件選びの段階で確認しておいてほしいポイントをまとめました。
「ペット可物件だから安心」ではなく、「この地域にどんな動物病院があるか」まで確認しておきましょう。シニア犬の診察に積極的な病院、夜間救急に対応している病院など、事前にリストアップしておくと安心です。引越し前に動物病院に電話で「シニア犬・介護が必要な犬の受け入れは可能か」を確認しておくこともお勧めします。
寝たきりや歩行困難になった犬を移動させるとき、エレベーターのない物件・階段の多い物件は想像以上の負担になります。1階の部屋、またはエレベーター完備の物件を選ぶことで、将来の介護の負担を大きく減らせます。
動物病院への通院は、病気が進行するほど頻度が増えます。駐車場が近い、車への乗せ降ろしがしやすい、動物病院までの道のりに大きな段差や坂がないかなど、通院のたびにかかる負担も考慮しておきましょう。
寝たきりになった場合、床ずれ防止マットや介護用ハーネスなどを使用することが多くなります。滑りやすい床材は介護の負担を増やすことがあるため、床材の種類や、室内の段差の有無も確認しておくとよいでしょう。
介護が必要になったタイミングでの引越しは、犬にとっても飼い主にとっても大きな負担です。できるだけ長く住み続けられることを前提に、将来の変化にも対応できる物件を選んでおくことが、結果的に犬と過ごす時間を守ることにつながります。
⑥ 「今」だけでなく「これから」を見据えた物件選びへ
ペット可物件を探すとき、多くの方は「今、元気な状態でどう快適に暮らすか」を中心に考えます。それはもちろん大切なことです。しかし、犬も人と同じように年を取り、いつか介護が必要になる日が来ることも、心のどこかに置いておいていただきたいのです。
- 病気になりやすいとされる犬種を飼っている、または飼う予定がある
- すでにシニア期に入っているペットと暮らしている
- 大型犬・多頭飼いで将来の介護負担が大きくなりそう
- 今の物件で長く住み続けられるか不安がある
このような状況に当てはまる方は、ぜひ物件選びの段階から「将来の介護」を視野に入れたご相談をしてください。ペッターズ不動産では、動物病院へのアクセス・エレベーターの有無・1階物件など、将来を見据えたご提案も行っています。
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動物病院へのアクセス・エレベーターの有無・1階物件など、ご希望の条件をお伝えいただければ、未公開含め物件をご提案いたします。
⑦ よくある質問(Q&A)
⑧ まとめ
この記事のポイント
- 変性性脊髄症(DM)はコーギーに多く報告される病気で、ゆるやかに進行し3〜4年の生存期間がある(ペトコト・岐阜大学動物病院)
- 代表自身もコーギーをDMで2年間介護し、「動物病院が近くにない」「通院が大変」という課題に直面した
- 犬種ごとに注意すべき病気の傾向がある(コーギー・ダックスフンドの脊椎系、短頭種の呼吸器系、大型犬の関節系など)
- 物件選びで見ておきたい5つのポイント:①シニア犬対応の動物病院の有無②エレベーター・段差③駐車場からの距離④室内の床材⑤長く住み続けられるか
- 「今」だけでなく「これから」を見据えた物件選びが、将来の介護負担を大きく減らす
- 介護で困ったときは一人で抱え込まず、動物病院・老犬ホーム・飼い主仲間など複数の相談先を持つことが大切
病気になりやすい犬種を飼うことは、決して特別なことではありません。どの犬種にもかかりやすい病気の傾向があり、シニア期を迎えれば誰しも介護と向き合う可能性があります。だからこそ、物件を選ぶ「今」の段階で、少しだけ「これから」のことも考えてみてほしいと思います。
私自身の経験から、これがどなたかの後悔を減らすきっかけになれば幸いです。「将来の介護も見据えて物件を探したい」という方は、ぜひペッターズ不動産にご相談ください。
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