
加熱式・電子タバコでも退去費用はかかる?"タバコは吸ってないから大丈夫"の落とし穴
「うちは紙巻きタバコじゃなくて加熱式だから、退去費用は心配ない」——そう思っている方は少なくありません。実際、IQOSやgloといった加熱式タバコは、紙巻きタバコに比べてタール(ヤニの原因物質)が9割以上カットされているとされ、壁紙が黄ばみにくいのは事実です。しかし「ゼロではない」という点が見落とされがちで、退去時に想定外の費用を請求されるケースも起きています。この記事では、加熱式・電子タバコと原状回復費用の関係を、正確に整理します。
この記事でわかること
加熱式・電子タバコと紙巻きタバコの違い
紙巻きタバコが壁紙を黄ばませる主な原因は、タール(ヤニ)です。IQOSやgloなどの加熱式タバコは、この仕組みそのものが異なり、タールの発生量が紙巻きタバコと比べて9割以上少ないとされています。ベイプなど水蒸気を吸うタイプの電子タバコも、ヤニがほとんど出ないため、壁紙が汚れたり臭いが付いたりするリスクは低いとされています。
つまり、加熱式・電子タバコは紙巻きタバコに比べてリスクは大きく下がるものの、「まったく影響がない」わけではありません。この「軽度だがゼロではない」という認識のズレこそが、退去時のトラブルの根本原因になっています。
それでも費用が発生する3つのケース
加熱式・電子タバコであっても、次のような条件が重なると、退去費用が発生する可能性が高まります。
①長期間・高頻度で使用していた — 数年単位で毎日使用していると、微量でも成分が蓄積し、うっすらとした黄ばみや臭いにつながることがある
②換気が不十分だった — 窓を閉め切ったまま使用を続けると、壁紙やエアコンフィルターに成分が付着しやすくなる
③リキッドの種類によっては香りが強い — 電子タバコのリキッドには香料が含まれるものもあり、これが独特の臭いとして残留することがある
吸っている本人は日常的に臭いに慣れてしまい、気づきにくいのも特徴です。しかし、吸わない人からすると、紙巻きタバコとあまり変わらない独特の臭いとして感じられることも多く、立会いの際に指摘を受けるケースも報告されています。
国交省ガイドライン上の扱い
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、経年劣化や通常の使用による損耗については、賃料に含まれるものとして貸主負担とされています。一方で、喫煙による臭い・汚損は「通常の使用を超える」ものとして扱われることが多く、これはタバコの種類を問わず適用される考え方です。
つまり、ガイドライン上「加熱式だから免除される」という明確な特例は存在しません。あくまで「実際にどの程度の汚損・臭いが生じているか」で個別に判断されるため、加熱式・電子タバコであっても、程度によっては借主負担の対象になり得るという点は理解しておく必要があります。
今の部屋の契約に禁煙特約があるか不安な方は、お気軽にご相談ください。
紙巻き・加熱式・電子タバコの費用感の違い
実際にどの程度の費用差があるのか、目安を整理しました。あくまで一般的な傾向であり、使用期間・頻度・換気状況によって大きく変わる点にご注意ください。
| 種類 | 主なリスク | 費用が発生した場合の目安 |
|---|---|---|
| 紙巻きタバコ | ヤニ黄ばみ・強い臭い・焦げ跡 | クロス張替等で5万〜20万円程度 |
| 加熱式タバコ(IQOS・glo等) | 長期使用でのうっすらとした黄ばみ・臭い | 発生する場合は紙巻きより低め、部分クリーニング程度 |
| 電子タバコ(ベイプ等) | リキッドの香りの残留 | 同上、香りの強さによって変動 |
紙巻きタバコに比べれば費用リスクは明らかに低いものの、「絶対に発生しない」という保証はどこにもありません。特に、クロスの耐用年数(減価償却上6年とされることが多い)を超えて長く住んでいる場合は、負担が軽減される傾向があることも知っておくとよいでしょう。
実際に「バレた」ケースに共通すること
「加熱式だからバレないだろう」と思っていても、退去立会いの際に指摘を受けたという声は実際に存在します。共通しているのは、換気扇の下など特定の場所で習慣的に使用していたケースや、キッチン周りの壁がわずかに変色していたケースです。
吸っている本人には臭いの自覚がなくても、第三者が室内に入った瞬間に気づくことは珍しくありません。「自分では分からないから大丈夫」という思い込みが、最も見落とされがちなポイントと言えます。
今日からできる予防策
- 使用時は必ず窓を開ける、換気扇を回すなど、こまめに換気する
- 同じ場所で吸い続けず、壁から離れた場所で使用する
- タバコ用の消臭剤を置く、または退去前に集中的に使用する
- エアコンフィルター・換気扇は定期的に清掃しておく
- 退去前には、プロのクリーニング業者への依頼も検討する
特別な工事や大掛かりな対策は不要で、日々のちょっとした心がけの積み重ねが、退去時の負担を大きく左右します。
入居前・契約時に確認しておきたいこと
そもそも、契約書に「禁煙」と明記されている物件では、加熱式・電子タバコであっても室内での使用は避けるべきです。契約違反となれば、原状回復費用に加えて違約金が発生する可能性もあります。契約前に、以下の点を確認しておきましょう。
- 契約書・重要事項説明書に禁煙に関する特約があるか
- 加熱式・電子タバコが特約の対象に含まれているか(明記が曖昧な場合は事前に確認)
- ベランダ・共用部での喫煙に関するルール
- クロスの張替え年数など、原状回復の負担基準が契約書にどう記載されているか
ペッターズ不動産にご相談ください
ペッターズ不動産では、契約時に禁煙特約の有無や原状回復の考え方について、事前にしっかりご説明することを心がけています。「加熱式タバコは大丈夫なのか」といった疑問にも、契約書の内容に基づいて丁寧にお答えします。
すでにご入居中の物件についても、退去を控えたご相談を承っております。不安な点があれば、退去前の早い段階でご相談いただくことで、無用なトラブルを避けやすくなります。
まとめ——「軽度」であって「無関係」ではない
加熱式・電子タバコは、紙巻きタバコに比べて壁紙の黄ばみや臭いのリスクが大幅に低いのは事実です。しかし「ゼロではない」という点を見落とすと、退去時に想定外の費用を請求される可能性があります。長期間・高頻度の使用、換気不足、リキッドの香りといった条件が重なると、加熱式・電子タバコでもトラブルの原因になり得ます。日頃からのこまめな換気と、契約書の禁煙特約の確認を習慣にしておくことが、安心して住まいを引き継ぐための一番の近道です。
- 株式会社ウィル・ビー「社会問題になっている『喫煙』退去の時にはどうする?」
- 賃貸の森「賃貸物件でタバコを吸ってもいいの?退去時の注意点」
- 株式会社緑地「不動産屋は気づいている!電子タバコの『独特な臭い』と退去費用の関係」
- はりかえ隊「アイコスやグローが壁紙に与える影響は?」
- はりかえ隊「タバコによる壁紙の黄ばみで退去費用は上がる?加熱式タバコは大丈夫?」
- 株式会社イニシャルエージェンシー「タバコのヤニ汚れは原状回復で借主負担?クロス全面張替・消臭の費用と判断基準」
