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【完全版】ペットが原因の火災・漏水事故、賃貸住まいで飼い主が負う責任とは

賃貸不動産

 柴崎 孝行

筆者 柴崎 孝行

不動産キャリア22年

代表の柴崎です、ご覧いただきありがとうございます。

中古不動産のリノベーション会社、売買仲介会社、リフォーム会社、賃貸仲介等様々な不動産関係のお仕事に携わって参りました。

その経験の中で、賃貸不動産のペットの扱いがひどいと感じてペッターズ不動産を運営しております。

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【完全版】ペットが原因の火災・漏水事故、賃貸住まいで飼い主が負う責任とは|ペッターズ不動産
法律ガイド 完全版

留守中の一瞬が、火事になる。
ペットが原因の火災・漏水事故、賃貸で飼い主が負う責任とは 失火責任法という特殊な法律、漏水事故の責任区分、保険での備え方まで正確に解説

2026年8月4日 ペッターズ不動産 読了目安 約12分

「うちの子に限って、そんなことはしない」——多くの飼い主さんがそう思っています。しかし実際には、留守中にペットがコンロのスイッチを押してしまったり、蛇口をひねって水を出しっぱなしにしてしまったりする事故が、決して珍しくない頻度で発生しています。賃貸住まいでこうした事故が起きた場合、飼い主にはどんな責任が生じるのでしょうか。今日は、火災と漏水、それぞれの法的な扱いをデータと条文から正確に解説します。

約72%
ペット関連事故のうち火災に至った割合
犬9件/猫16件
動物別の事故内訳(5年間)
約9割
近年の別集計での火災化率
重過失
失火責任法での免責の分かれ目

① 意外と多い、ペットが原因の火災事故

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が公表した資料によると、平成24年度から平成28年度までの5年間に収集された製品事故情報のうち、ペットが原因の事故は78件中26件。動物別の内訳は犬9件、猫16件、鳥1件で、猫が犬の倍近い件数となっています。そしてこの26件のうち、約72%にあたる件数が火災に至ったと報告されています(出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構「身近な動物が思わぬ火災事故を引き起こします」)。

さらに近年のデータでは、火災化率がさらに上昇

平成25年度から令和4年度までの10年間の集計では、ペットによる事故は61件発生し、そのうち約9割(61件中54件)が火災に至ったと報告されています。ペットが飼い主の外出中に事故を起こすケースが多いとも指摘されています。

出典:大分県「ペットが原因の火災にご注意下さい」

東京消防庁管内(稲城市・東久留米市・島しょ地域を除く東京都全域)では、動物(ゴキブリ・ネズミ・ペット等)が関連した火災が毎年平均20件程度発生しているとも報告されています(出典:消防防災博物館「動物が原因で出火した火災事例について」)。

② 具体的にどんな事故が起きているか

報告されている事故事例には、次のようなものがあります(出典:アニコム損保「ペットによる火災事故」、アクア少額短期保険「ペットが火災事故を起こす例」)。

コンロ・キッチン周り

猫が飼い主の不在時にガスコンロのスイッチを入れ、コンロが点火し火災が発生した事例。鍋の匂いに引かれてガスレンジに前足をかけたことがきっかけになるケースも報告されています。

電気製品への放尿

猫がファクシミリに尿をかけたことで漏電・火災が発生した事例。ペットの尿によるトラッキング現象で電気製品の火災事故が発生することがあり、猫は高い位置の製品にも飛び乗れるため注意が必要です(出典:NITE「ペットによる火災事故を防ぐポイント」)。

コード・バッテリー

充電後に放置していたリチウムイオンバッテリーに飼い犬が噛みつき発火した事例。電気コードを噛んだり引っ張ったりすることでショートが起きるケースもあります。

キャンドル・暖房器具

遊び心でテーブルや棚の上のキャンドルに触れて倒してしまうケース、電気毛布やスペースヒーターを倒したり、触れた際にスイッチが入ってしまったりするケースも報告されています。

事故予防のご相談も、内見時の設備確認とあわせて承ります

③ 火災の法的責任:失火責任法という特殊な法律

日本には「失火ノ責任ニ関スル法律」(失火責任法、明治32年制定)という特殊な法律があります。この法律はわずか1条のみで、「民法第709条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス」と定めています(出典:公益社団法人全日本不動産協会「賃借人の失火と損害賠償義務」)。

つまり、失火によって隣家や他の入居者に損害を与えても、重大な過失(重過失)がない限り、不法行為に基づく損害賠償義務を負わないという、被害者側からすると意外な内容の法律です。この法律は、木造住宅が密集していた明治期に、類焼被害の賠償を失火者に求めるのは酷であるという考えのもとに制定され、現在も効力を持っています(出典:同資料)。

ペットの火災事故は「重過失」にあたるのか?ペットが勝手にコンロのスイッチを押してしまうような事故は、飼い主本人が直接火を出したわけではないため、状況によっては通常の過失(軽過失)にとどまり、重過失とまでは認定されない可能性があります。ただし、これは個別の事情によって判断が分かれる問題であり、断定はできません。

④ 大家様への責任は別扱い——原状回復義務

ここで見落としてはいけないのが、失火責任法が免除するのはあくまで民法709条(不法行為責任)に基づく損害賠償義務だけだという点です。賃貸物件の場合、入居者は大家様との間で、退去時に原状回復して返還する契約上の義務を負っています。この義務が履行されなかった場合は、民法第415条に規定する債務不履行に基づく損害賠償責任を負うことになり、この415条には失火責任法が適用されません(出典:日本損害保険協会「損害保険Q&A」問52)。

相手根拠となる責任失火責任法の適用
隣家・他の入居者(第三者)民法709条(不法行為責任)適用あり(重過失なければ免責)
大家様(貸主)民法415条(債務不履行責任)適用なし(通常の過失でも責任あり)

つまり、「重過失がなかったから隣家への賠償はしなくてよい」としても、大家様に対しては、借りていた部屋を元通りにする責任からは逃れられないということです。賃貸物件にお住まいの方には、この大家様への損害賠償責任をカバーする「借家人賠償責任補償(特約)」への加入が強く推奨されています(出典:じぶんでえらべる火災保険「失火責任法とは?」)。

⑤ 漏水事故の責任は誰にあるのか

漏水事故は、火災とは異なる法的構造になっています。専有部分(自室)で発生した漏水事故の場合、居住者または所有者が責任を負うのが原則です。浴槽の水を出しっぱなしにして階下を浸水させたような、不注意が原因の漏水は、民法709条(不法行為責任)に基づく損害賠償責任の対象になります(出典:Vベスト法律事務所「マンションで漏水事故を起こしてしまった!」)。

一方、給排水設備の老朽化が原因の漏水については、扱いが異なります。賃借人には、老朽化した給排水設備を管理・補修する義務まではないため、通常の使用によって発生した漏水であれば、責任は賃借人ではなく所有者(大家様)が負うことになるとされています(出典:宇田法律事務所「賃貸物件での漏水事故 オーナーが負うべき責任や対処法は?」)。この点は、失火責任法による特別な免責がある火災とは大きく異なるポイントです。

漏水リスクの少ない設備の物件選びも、内見時にアドバイスします

⑥ ペットが原因の漏水、よくあるパターン

マンション保険の支払事例では、「入居者が水道の蛇口を閉め忘れたため、階下居室へ漏水が発生した」というケースが報告されています(出典:マンション保険「個人賠償のお支払い事例について」)。この「閉め忘れ」は人が原因のケースですが、これと同じ現象が、ペットによって引き起こされることもあります。

☐ 猫がレバー式水栓に飛び乗り、蛇口をひねって水を出しっぱなしにしてしまう

☐ ペットが給水ホースや排水ホースを噛んで破損させる

☐ 洗面台やお風呂場でペットが遊んでいる際に、栓をした状態で水が出しっぱなしになる

☐ トイレのタンクや配管まわりをいたずらして水漏れを引き起こす

階下漏水は「住人の明確な過失が認められる場合(例:水道の止め忘れで階下に大規模な被害をもたらしたケース)は、上階住人が全額賠償を命じられることがある」と指摘されており(出典:神奈川水道「上の階から水漏れ賠償相場と修理費用の目安」)、ペットによる閉め忘れであっても、管理を怠っていたとみなされれば、同様の賠償責任が生じる可能性があります。

⑦ 保険で備える:借家人賠償責任保険

火災・漏水いずれの事故についても、備えとして重要なのが保険です。

借家人賠償責任保険(特約)

大家様への原状回復・損害賠償責任をカバーする保険です。火災保険の特約として付帯されているケースが多く、賃貸物件に住む場合はほぼ必須とされています。失火責任法では免責されない大家様への責任を、この保険でカバーします。

個人賠償責任保険

階下の入居者など、第三者への損害賠償責任をカバーする保険です。漏水事故で他の入居者に損害を与えた場合や、火災で重過失が認定された場合などに活用できます。

類焼損害補償特約

失火責任法により法的な賠償義務がない場合でも、近隣との関係を考慮して見舞金的な補償を行いたい場合に活用できる特約です。

⑧ 未然に防ぐための対策

☐ 外出時はペットをケージに入れる(NITEが最も強く推奨する対策)

☐ 外出前にガスの元栓を閉め、電気製品のプラグを抜く

☐ ガスコンロ・IH調理器の周囲に可燃物を置かない

☐ ペットの排尿場所付近に配線器具・電気製品を置かない

☐ レバー式水栓ではなくひねり式など、ペットが動かしにくいタイプへの変更を検討する

☐ キャンドル・暖房器具はペットの手が届かない場所に設置する

☐ 借家人賠償責任保険・個人賠償責任保険への加入状況を確認する

⑨ もし事故が起きてしまったら

発生直後
安全確保を最優先し、必要に応じて消防・警察へ通報する
初期対応
漏水の場合は止水栓を閉める、被害拡大を防ぐ応急処置を行う
速やかに
管理会社・大家様へ事実を報告する。独断で修理業者を手配しない
並行して
加入している保険会社に連絡し、対応方針を確認する
事後
被害状況を写真で記録し、原因調査への協力を行う

⑩ 知っておきたい用語集

用語集

失火責任法:正式名称「失火ノ責任ニ関スル法律」。重過失がない限り、失火による第三者への不法行為責任(民法709条)を免除する明治32年制定の法律。
重過失:通常人に要求される程度の注意さえすれば結果を予見・回避できたのに、著しく注意を欠いた状態。
債務不履行責任:契約上の義務を果たさなかった場合に生じる責任(民法415条)。失火責任法の適用対象外。
借家人賠償責任保険:賃借人が大家様に対して負う損害賠償責任をカバーする保険。
トラッキング現象:コンセントに溜まったほこりが湿気を吸い、微小な放電を繰り返して発火に至る現象。

⑪ よくある質問

Q. ペット可物件では、火災保険の内容も変わりますか?

A. 一般的な火災保険・借家人賠償責任保険の仕組み自体は変わりませんが、ペットによる事故リスクを踏まえ、補償内容を手厚くしておくことをおすすめします。

Q. ケージに入れていれば事故は完全に防げますか?

A. NITEが推奨する対策の中でも特に有効とされていますが、完全にリスクをゼロにするものではありません。ガスの元栓を閉める、電源を抜くといった対策とあわせて行うことが推奨されています。

Q. 漏水で階下に被害が出た場合、必ず自分が全額負担するのですか?

A. 原因が入居者の不注意か、設備の老朽化かによって責任の所在は変わります。個別の状況によって判断が異なるため、まずは管理会社に相談し、必要に応じて専門家にご相談ください。

安心して暮らせる住まい探し、保険のご相談も承ります

当社はペット可賃貸を専門に扱う中で、こうした事故予防・保険の知識も蓄積してきました。物件のご紹介から、安心して暮らすための備えまで、幅広くサポートします。しつこい営業は行いません。

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