「ペット可物件に入居しているし、タバコくらい大丈夫だろう」——そう思っている方に、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。賃貸住宅でのタバコによるヤニ汚れ・臭い・焦げ跡は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」において通常損耗には該当せず、借主が原状回復費用を負担しなければならないと明示されています。
退去時に「こんなはずじゃなかった」と慌てないために、正確な知識を今すぐ確認してください。
本記事は退去費用トラブルを防ぐための注意喚起を目的としています。ペット可物件にお住まいで室内喫煙をされている方は、退去時に想定以上の費用が発生するリスクがありますので、ぜひ最後までお読みください。
① 「通常損耗」と「借主負担」の違いを正しく理解する
国土交通省のガイドラインでは、原状回復を「賃借人の居住・使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。
出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(令和5年3月参考資料)- 日照による畳・クロスの変色・色褪せ
- 家具設置による床のへこみ・跡
- 壁に設置した小釘の穴(画鋲程度)
- 経年劣化による設備の自然な摩耗
- 冷蔵庫・テレビ裏の電気焼け(通常使用)
- タバコのヤニによるクロスの黄ばみ・変色
- タバコの臭いの染み込み(脱臭処理費)
- タバコの焦げ跡(床・カーペット・クロス)
- ペットによる引っ掻き傷・尿による腐食
- 結露の放置によるカビ・シミの拡大
以前のガイドラインでは「喫煙自体は用法違反にあたらず、クリーニングで除去できる程度のヤニは通常損耗の範囲」とされていた時代もありました。しかし平成23年の改定以降、喫煙に関する社会情勢・喫煙者の減少を踏まえ、汚損がある場合は賃借人の負担という趣旨に変更されています。
出典:リドックス「ヘビースモーカーの入居者が退去、クロスの張替え代はどこまで請求出来る?」(国土交通省ガイドライン改訂経緯の解説)② タバコが「通常損耗にならない」理由——国交省ガイドラインの根拠
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、「喫煙によって生じた臭いやクロスの変色等の場合には原状回復義務を負うことになる」と明記されています。これは故意・過失、善管注意義務違反等による損耗の例示として挙げられています。
出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に関する参考資料(令和5年3月)ガイドラインでは「喫煙等により当該居室全体においてクロス等がヤニで変色したり臭いが付着した場合のみ、当該居室全体のクリーニングまたは張替費用を賃借人負担とすることが妥当」としています。タバコの煙は部屋全体に広がるため、一般的な傷(一面分のみ負担)とは異なり、部屋全体のクロス張替費用を借主が負担することが妥当とされています。
出典:リドックス「ヘビースモーカーの入居者が退去」(国土交通省ガイドライン解説)/ 城都不動産「賃貸退去時のタバコ問題」(2025年3月)重要なポイント:「タバコを吸うこと自体」ではなく「タバコによる損耗(ヤニ・臭い・焦げ)が発生した場合」に借主負担になります。ただし部屋全体にヤニが染み込んでいる状態では部屋全体の費用が発生します。
③ 【費用シミュレーション】タバコ喫煙で退去費用はいくらになる?
実際にどのくらいの費用が発生するのか、2LDK・3年居住のケースを例に概算をご確認ください。
2LDK(約50㎡)・3年居住・全室喫煙の場合の概算
約50㎡ × 1,500〜2,000円/㎡
約25㎡ × 1,500円/㎡
オゾン脱臭等
※ あくまで概算目安です。物件の広さ・喫煙の程度・入居年数・クロスのグレード・業者によって大きく変動します。
※ ヤニが下地ボードや断熱材に染み込んでいる場合は50〜100万円超になるケースも報告されています。
※ 耐用年数の経過による減価償却で借主の負担割合が減少する場合があります。
1Kのルームクリーニング相場は1.2〜2.5万円程度、クロス張替えは量産品で1㎡あたり800〜1,200円(6畳・約25㎡全面で2〜3万円台)が目安です。においの除去にはオゾン処理等で1.5〜3万円、ヤニ付着がひどい場合は追加洗浄が重なり合計が膨らみます。また高額な事例では「安くて30万円前後、高額で80〜100万円に及んだ」という実例も報告されています。
出典:PURECRAFT「賃貸でタバコによって発生する退去費用の相場と過剰請求を防ぐ実践ガイド」(2025年12月)/ まごのて「ヤニ臭のまま退去はNG?」(2025年3月)④ 入居年数と負担割合の関係(経年劣化・減価償却の考え方)
国土交通省のガイドラインでは、クロス(壁紙)の耐用年数を6年と定めています。入居期間が長いほど借主の負担割合が減少する仕組みです。例えば入居期間が2年の場合、借主の負担はおおよそ全体の3分の2程度となります。
出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」/ 城都不動産「賃貸退去時のタバコ問題」(2025年3月)| 入居年数 | クロスの残存価値目安 | 借主の負担割合目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 1年 | 約83% | 高い(約83%程度) | 短期入居は費用が特に高くなる |
| 2年 | 約67% | 高め(約67%程度) | 2年更新後の退去は費用が高い |
| 3年 | 約50% | 中程度(約50%程度) | 脱臭処理費は別途全額負担の場合も |
| 6年 | 1円(残存価値ほぼなし) | 低くなるが費用はゼロではない | 施工費・脱臭費は別途発生 |
| 6年超 | 残存価値なし | クロス代はほぼ借主負担なし | 施工費・脱臭処理費は引き続き発生 |
クロスの残存価値がほぼゼロになっても、施工費(工事代)・脱臭処理費・特殊クリーニング費は別途発生します。またタバコのヤニが下地ボード・断熱材に染み込んでいる場合は、耐用年数に関係なく追加工事費が発生します。「6年住めばゼロ」という理解は正確ではありません。
⑤ ペット可物件で喫煙するリスクが特に大きい理由
タバコとペットの臭いが複合し脱臭コストが跳ね上がる
ペットの体臭・排泄物の臭いとタバコの臭いが複合すると、通常の脱臭処理では対応できず特殊クリーニング・複数回の処理が必要になることがあります。脱臭処理費が単独の場合の2〜3倍になるケースもあります。
ペット可物件は退去費用の特約が厳しいケースが多い
ペット可物件では「退去時の特殊クリーニング費は借主負担」などの特約が契約書に盛り込まれているケースが多いです。特約がある場合は経年劣化の減価償却計算より特約が優先される場合があります。必ず契約書を確認してください。
次の入居者へのペット臭対策が二重に必要になる
ペット可物件では次の入居者へのペット臭クリーニングが通常から必要です。そこにタバコ臭が加わるとクリーニング回数・費用が大幅に増加し、管理会社が「タバコ+ペットの複合臭」として高額な請求を行うケースがあります。
ペッターズ不動産からのお願い:ペット可物件にお住まいで喫煙者の方は、ベランダ喫煙・換気扇下喫煙・または喫煙所の利用をご検討ください。室内喫煙を続けると退去時に大きな費用負担が発生するだけでなく、オーナーとの信頼関係にも影響します。
⑥ 退去費用を抑えるために今できる5つの対策
今すぐ室内喫煙をやめる・ベランダ喫煙に切り替える
これが最も効果的な対策です。今日から室内での喫煙をやめることで、今後の臭い・ヤニの蓄積を止められます。ただしベランダ喫煙も近隣への臭いトラブルになる可能性があるため、換気扇下や喫煙所の利用が理想的です。
空気清浄機・脱臭機を常時稼働させる
タバコの臭いの壁・天井への染み込みを軽減するために、高性能の空気清浄機(脱臭フィルター付き)を常時稼働させましょう。完全には防げませんが、臭いの蓄積を抑える効果があります。
定期的な換気・クロスの自主清掃を行う
ヤニ汚れ専用のクリーナーで定期的にクロスを拭き取ることで、汚染の進行を遅らせることができます。ただし激しくこすると逆にクロスを傷めることがあるため、製品の使用方法に従って慎重に行いましょう。
退去前に専門クリーニング業者に依頼する
退去前に自分でクリーニング業者に脱臭・ヤニ取りクリーニングを依頼することで、管理会社が手配する場合より費用を抑えられることがあります。ただし「管理会社指定の業者でなければ認められない」という契約の場合もあるため事前確認が必要です。
入居時の状態を写真で記録しておく
入居時の室内状態を日付入りで写真に残しておくことで、退去時に「入居前からあった汚れ」を証明できます。タバコ由来でない汚れについての不当な請求を防ぐためにも有効です。写真はクラウドに保存しておきましょう。
サイトに掲載しているのは約1,000件のみ
実は3,000件以上の未掲載物件があります
当社が扱うペット可物件は、サイトに掲載しているのはそのごく一部です。物件情報の入力作業は手作業で行っているため、すべての物件を掲載することができない状況です。
サイトを見て「条件に合う物件がない」と諦めないでください。
お問い合わせいただければ、犬種・頭数・家賃・エリア・間取りなど細かい条件に合わせて、未掲載の3,000件以上の中からご提案することができます。
⑦ よくある質問(Q&A)
⑧ まとめ
この記事のポイント
- タバコのヤニ・臭い・焦げ跡は通常損耗に該当せず借主の原状回復義務が発生する(国土交通省ガイドライン 令和5年3月)
- 平成23年のガイドライン改定以降、喫煙による汚損は借主負担という解釈が明確化されている
- 室内全体にヤニが広がっている場合は部屋全体のクロス張替費用を借主が負担することが妥当とされる
- 2LDK・3年居住の概算で15〜30万円以上の退去費用が発生するケースがある(PURECRAFT 2025年12月等)
- 「6年住めばゼロ」は正確ではない。施工費・脱臭処理費・特殊クリーニング費は別途発生する
- ペット可物件は「ペット臭+タバコ臭」の複合で脱臭コストが大幅増加するリスクがある
- 今すぐできる対策:室内喫煙をやめる・空気清浄機稼働・換気・退去前専門クリーニング・入居時の写真記録
「ペット可物件だし、タバコも少しくらいいいだろう」という認識は、退去時に想定外の大きな出費につながる可能性があります。国土交通省のガイドラインは明確にタバコのヤニ・臭い・焦げ跡を借主負担と定めています。
ペッターズ不動産では、入居前に契約書・特約の内容を丁寧にご説明し、退去時のトラブルを未然に防ぐサポートを行っています。「今の契約内容が不安」「次の物件の特約を確認したい」という方もお気軽にご相談ください。
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