ペットと賃貸で暮らす上で「近隣への音」は最大の悩みのひとつです。「RC造なら静か」とよく言われますが、その差を実際に数値で見たことはありますか?dB(デシベル)というわかりやすい単位で比較すると、木造とRC造の差は体感上、驚くほど大きいのです。

この記事では、犬・猫の鳴き声の音量・建物構造ごとの遮音性能・「RC造なのにうるさい」が起きる理由・そして内見で防音性を見抜くコツまで、科学的な根拠をもとに解説します。

① まず知っておきたい「dB(デシベル)」の基礎知識

防音性を理解するには「dB(デシベル)」という単位の感覚を身につけることが大切です。

日常音のdBスケール(目安)

木の葉がこすれる音・ささやき声約20〜30dB
図書館内・静かな住宅地の夜約40dB
普通の会話・エアコンの室内機約50〜60dB
掃除機・テレビの音約60〜70dB
犬の鳴き声(中〜大型犬)約90〜100dB
電車が通過するガード下約100dB

※ dBは対数スケールです。10dBの差が「音の強さが10倍」に相当し、人間の聴覚では「音が約2倍の大きさ」に感じられます。
※ 犬の鳴き声のdB値:東京都環境局データをもとに作成

重要な感覚:10dBの差が「音が約2倍に聞こえる」感覚です。木造(D-35)とRC造(D-50)の差は15dB——つまりRC造では木造の約3〜4倍「静か」に感じられる計算になります。この差が日常生活の「安心感」に直結します。

② ペットの鳴き声は何dB?体感と数値で理解する

犬・猫の鳴き声の音量(東京都環境局・pialiving.com 2026年3月)

東京都環境局によると、犬の鳴き声は約90〜100dBで、人間の絶叫と同等の音量に匹敵します。特に集合住宅ではこの音が壁や床を通じて響きやすく、騒音トラブルの原因になることがあります。猫の鳴き声は犬より小さく約70〜85dB程度とされています。

出典:東京都環境局 / pialiving.com「犬 鳴き声 賃貸 防音 対策の決定版」(2026年3月17日)
音の種類音量目安体感
猫の鳴き声(通常)約70〜80dBテレビ音・掃除機と同程度
小型犬の吠え声約80〜90dB地下鉄の車内と同程度
中型〜大型犬の吠え声約90〜100dB人間の絶叫・電車のガード下と同程度
猫の走り回る足音(固体音)約50〜65dB普通の会話と同程度だが振動として伝わる
大型犬の歩行音(フローリング)約60〜70dBテレビ音と同程度・下の階に直接響く

注意:犬の鳴き声(90〜100dB)は法律上「騒音」として問題になるレベルです。環境省の生活騒音ガイドラインでは昼間55dB・夜間45dBが望ましいとされており、犬の鳴き声はその2倍近い音量になります。だからこそ「遮音性能の高い構造を選ぶこと」が、近隣トラブルを防ぐ最大の対策です。

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③ 木造・鉄骨造・RC造の遮音性能をD値で比較

建物の遮音性能を表す指標として「D値(遮音等級)」があります。D値が大きいほど音を遮る性能が高く、D-50の壁なら外の80dBの音が30dBまで低減されます。

D値(遮音等級)の定義と構造別目安(楽待・pialiving.com 2025〜2026年)

壁の遮音性能を評価する数値「D値」は、音が壁を通過する際にどの程度音を損失させるかを表します。D-50の性能を持った壁であれば、この壁を通過するにあたり50dB損失します。大体の目安としてRC造の壁はD-50程度・木造の壁はD-35程度とされています。RCの優位性は数値でも明らかです。またD値はJIS A 1419・日本建築学会の基準で示されており、重くて厚い構造ほどD値が高くなります。

出典:楽待「RC造と木造で、防音にどれだけ差がある?」/ stlink.jp「プロが解説!木造VSRC造 防音性の本当の違い」(2025年12月)/ pialiving.com「鉄骨 防音の基礎知識|D値・L値で見る選び方」(2026年2月)
構造D値(遮音等級)目安防音性ペット飼育での評価
木造(W造)D-30〜35程度鳴き声・足音が響きやすい
軽量鉄骨造D-35程度低〜中木造と同程度。振動音が伝わりやすい
重量鉄骨造D-40〜45程度対策次第で改善可能
RC造(鉄筋コンクリート)D-50〜55程度大型犬・多頭飼いにも対応しやすい
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)D-55以上最高最も推奨
RC造が静かな物理的な理由(元ラッパ吹きの防音研究所 2025年12月)

RC造は「圧倒的な質量」と「構造的な高気密性」という2つの条件を高いレベルで満たしています。コンクリートはその「重さ(密度)」が音の振動を物理的に抑え込み、強力な遮音性能の源となっています。またRC造は現場でコンクリートを流し込んで壁・床・天井を一体的に固めるため、木造や鉄骨造のように部材と部材の「継ぎ目」や「隙間」が構造的に生じにくく、建物全体が魔法瓶のように高い気密性を持つことになります。

出典:元ラッパ吹きの防音研究所「鉄筋コンクリートの防音性能:うるさいRCの見分け方」(2025年12月)

④ 【計算で実感】RC造と木造では「聞こえ方」がここまで違う

数値で見るとより実感できます。「隣の部屋で大型犬が吠えている(90dB)」という状況を木造とRC造で比較してみましょう。

木造(D-35)の場合:隣室で大型犬が吠えたとき

犬の鳴き声
90dB
木造壁の遮音(D-35)
35dB
=
自室で聞こえる音量
約55dB

55dBは「普通の会話レベル」——つまり隣の部屋の犬の鳴き声が、まるで同じ部屋で会話しているように聞こえる状態です。

RC造(D-50)の場合:隣室で大型犬が吠えたとき

犬の鳴き声
90dB
RC造壁の遮音(D-50)
50dB
=
自室で聞こえる音量
約40dB

40dBは「図書館の中」レベル——隣で犬が吠えていても、ほとんど気にならない・小さく聞こえる程度まで低減されます。

まとめると:同じ犬の鳴き声でも、木造では「普通の会話と同じくらいはっきり聞こえる(55dB)」のに対し、RC造では「図書館の中くらい静か(40dB)」になります。この15dBの差が、近隣トラブルの有無を決定づけることがあります。(出典:楽待・D値解説)

⑤ 「RC造なのにうるさい」が起きる理由

「RC造に住んでいるのに、上の階の足音が響く」という経験をされた方もいるでしょう。RC造でも防音性が低下するケースがあります。

RC造でも防音性が低くなる原因(pialiving.com 2026年4月)

RC造でも防音性が低い物件が存在します。主な原因は①GL工法(石膏ボードをコンクリート壁に直貼りする工法)では、壁とボードの間に生じる空洞が音の共鳴を起こし遮音性能が低下すること、②スラブ厚が薄い(150mm以下)と足音・ペットの走り回りが下の階に響きやすいこと、③直床構造(二重床でない)の場合は衝撃音が響きやすいこと——などが挙げられます。

出典:pialiving.com「鉄筋コンクリート 防音の落とし穴|GL工法の注意点と賃貸でできる対策」(2026年4月22日更新)
注意1
GL工法(石膏ボード直貼り)

コンクリート壁に石膏ボードをGL(グルーラミネート)ボンドで直貼りする工法では、ボードとコンクリートの間に空洞が生じます。この空洞が音の共鳴腔となり、隣室の音が「太鼓現象」のように増幅されて聞こえることがあります。RC造でも要注意の工法です。

注意2
スラブ厚が薄い(150mm以下)

床のコンクリート(スラブ)の厚さは防音性に直結します。一般的に200mm以上が「良好」・180mm程度が「標準」・150mm以下は「要注意」とされています。古いRC造マンションはスラブ厚が薄いケースが多く、ペットの足音が下の階に響きやすい場合があります。

注意3
直床構造(二重床でない)

二重床構造(床スラブの上に空気層を挟んでフローリングを張る方法)は衝撃音を吸収しやすいですが、直床(スラブに直接フローリングを張る)構造では衝撃音が構造体に直接伝わります。ペットの走り回る音・大型犬の歩行音は直床のRC造でも下の階に響く場合があります。

⑥ 内見で防音性を見抜く5つのチェック

  • 隣室との境界壁を軽く叩く——「ペコペコ」「コンコン」と軽い音→GL工法の可能性大、「ドン」と重い音→コンクリート直壁の可能性大
  • スラブ厚を管理会社に直接質問する——「スラブ厚は何mmですか?」200mm以上が理想
  • 二重床かどうかを確認する——「床は二重床構造ですか?」と直接質問
  • 内見時に窓を閉めた状態で外の音・廊下の音がどの程度聞こえるか確認する
  • 過去の騒音トラブルの有無を管理会社に確認する

ペッターズ不動産のサポート:スラブ厚・壁工法・過去のトラブル有無など、一般の内見では確認しにくい項目も、専門スタッフが事前調査・内見同行でサポートします。「防音性を最重視した物件を探したい」という方はお気軽にご相談ください。

⑦ RC造でも今すぐできる防音対策

RC造に住んでいても、対策によってさらに防音効果を高められます。

対策効果費用目安
防音マット・コルクマット全面敷き(厚さ1.5cm以上)足音・走り回り音を大幅軽減5,000〜20,000円
Wi-Fi中継器・ルーター設置場所の見直し—(ネット環境改善用)3,000〜8,000円
防音カーテン設置窓からの音漏れを20〜30%軽減10,000〜30,000円
壁際に本棚・大型家具を配置隣室への音の透過を軽減0円(配置換えのみ)
犬のしつけ・留守番トレーニング鳴き声トラブルの根本的解決0〜数万円(教室利用の場合)
夜間(22時〜7時)の活動制限クレーム発生リスクの大幅低減0円
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⑧ よくある質問(Q&A)

木造・RC造の防音性に関するよくある質問
Q
木造とRC造で防音性にどのくらいの差がありますか?
A
D値(遮音等級)で比較すると、木造がD-35程度・RC造がD-50〜55程度とされています。この差は約15〜20dBで、人間の聴覚では「音が約4〜6倍大きく聞こえる」差に相当します。大型犬の鳴き声(90dB)を例にすると、木造では約55dB(普通の会話レベル)まで、RC造では約40dB(図書館レベル)まで低減されます。(出典:楽待・D値解説・pialiving.com 2026年)
Q
RC造なのに上の階の足音が響きます。なぜですか?
A
主な原因は①スラブ厚が薄い(150mm以下)②直床構造(二重床でない)③GL工法(石膏ボード直貼り)のいずれかです。RC造でも壁・床の工法・施工品質によって防音性は大きく変わります。スラブ厚200mm以上・二重床構造・コンクリート直壁の物件が防音性の観点から最も推奨されます。内見時にこれらを確認することをお勧めします。(出典:pialiving.com 2026年4月)
Q
犬の鳴き声は何dBくらいありますか?
A
東京都環境局のデータによると、犬の鳴き声は約90〜100dBで人間の絶叫と同等の音量とされています。小型犬は80〜90dB程度・中型〜大型犬は90〜100dB程度が目安です。環境省の生活騒音ガイドラインでは昼間55dB・夜間45dBが望ましいとされており、犬の鳴き声はその基準を大幅に超えます。だからこそ防音性の高い建物を選ぶことが重要です。(出典:東京都環境局・pialiving.com 2026年3月)
Q
木造アパートでも防音対策をすれば大丈夫ですか?
A
対策で改善できますが、構造的な限界があります。木造(D-35)ではRC造(D-50)と比べて遮音性能が根本的に劣るため、防音マット・防音カーテン・しつけなどの組み合わせが必須です。小型犬・猫(鳴き声が少ない)であれば対策で乗り切れるケースもありますが、大型犬・よく吠える犬種の場合はRC造以上の物件を強く推奨します。(出典:stlink.jp 2025年12月)
Q
RC造の物件はなぜ家賃が高いのですか?
A
RC造は建築コストが木造の1.5〜2倍程度かかるため、それが家賃に反映されます。一般的にRC造の家賃は木造・軽量鉄骨造より月1〜2万円程度高くなる傾向があります。ただし防音性が高く近隣トラブルのリスクが大幅に下がること・ペット可物件の選択肢が広がること・火災や災害への耐性が高いことを考えると、ペット飼育者にとってその差額は価値があると考える方が多いです。

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⑨ まとめ

この記事のポイント

  • 犬の鳴き声は約90〜100dBで人間の絶叫と同等の音量(東京都環境局データ)
  • 木造の遮音性能はD-35程度・RC造はD-50〜55程度——その差は体感上「音が約4〜6倍静か」(楽待・JIS A 1419・日本建築学会基準)
  • 大型犬の鳴き声(90dB):木造では約55dB(会話レベル)→RC造では約40dB(図書館レベル)まで低減
  • RC造が静かな理由:「圧倒的な質量」と「構造的な高気密性」の2つ(元ラッパ吹きの防音研究所 2025年12月)
  • 「RC造なのにうるさい」の原因:GL工法・スラブ厚不足・直床構造(pialiving.com 2026年4月)
  • RC造の家賃は木造より月1〜2万円程度高いが、近隣トラブルのリスク低減・ペット飼育の安心感を考えると多くの方が価値を感じている
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